2006 Fiscal Year Annual Research Report
圧力を用いた分子体積プロファイル解析による蛋白質立体構造形成過程での水分子の寄与
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18031001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石森 浩一郎 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (20192487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 毅 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (30343742)
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Keywords | 高圧下分光法 / 蛋白質立体構造形成 / シトクロムc / 圧力効果 / 部分分子体積 / 脱水和 / 体積変化 |
Research Abstract |
1.本年度の主な成果は以下のとおりである。 1.アミノ酸置換シトクロムcの立体構造形成過程の追跡 本研究者らの従来の結果から,cyt cの立体構造形成時においては、疎水性部位からの脱水和により、その分子部分体積が減少したと考えられたが、直接的な確証は得られてはいない。そこでより直接的な実験的確証を得るため、立体構造形成時に脱水和すると考えられるアミノ酸残基を変異させ、その体積変化を追跡した。その結果、親水性残基を疎水性残基に置換させた場合にはより大きな体積減少が観測され、疎水性残基からの脱水和が分子部分体積に対して負の寄与をすることが示された。 2.高圧下時分割蛍光観測システムの構築 蛋白質の立体構造形成過程における体積変化を追跡するには、変性状態と天然状態間の平衡定数の圧力依存性からを求められる部分分子体積の差ΔVだけではなく、その反応における遷移状態への体積変化である活性化体積ΔV^≠も重要な情報である。ΔV^≠を見積もるためには反応速度の圧力依存性を測定する必要があり、本研究者らは独自の設計で高圧下時分割可視吸収測定システムを構築し、cyt cの立体構造形成過程を追跡してきた。このシステムではヘムの吸収を観測するため、ヘム近傍の構造変化は鋭敏に反映されるものの、蛋白質部分の構造変化を直接反映していない。そこでトリプトファンなど蛍光を有するアミノ酸残基をプローブとして立体構造形成時の反応速度の圧力依存性を追跡するため、高圧下時分割蛍光観測システムの構築を試みた。そめ装置の概要をFig.1に示す。図中央の試料台に耐圧セルが設置でき、手前右下側から励起用レーザー光、図右上側からモニター光が入射し、左側に検知部が位置している。耐圧セルの形状から観測可能な蛍光の強度が弱いものの、今後集光レンズの設置などを行い、検知部に達する蛍光の強度を上げることで測定可能であると考えられる。
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Research Products
(2 results)