2006 Fiscal Year Annual Research Report
アクトミオシンの分子間相互作用モデリングにおける水の役割
Project/Area Number |
18031035
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
高野 光則 早稲田大学, 理工学術院, 助教授 (40313168)
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Keywords | アクトミオシン / 分子モーター / エネルギーランドスケープ / ファネル / 水和エネルギー / ブラウン運動 / 揺動散挽関係 |
Research Abstract |
アクトミオシン分子モーターでは,ミオシン分子がアクチンフィラメントに沿って方向性をもったブラウン運動的な滑り運動を行うことが1分子実験によって示されている。本研究の計算機実験によって,この滑り運動がミオシン分子とアクチンフィラメントの間の相互作用エネルギー地形の特徴によって定量的に説明できることが示された(Takano, Terada, Sasai, 論文投稿準備中)。エネルギー地形はフィラメントに沿って非対称なファネル形状を示すことがわかった。すなわち,アクトミオシンの機能とカップルした「機能ファネル」がエネルギー地形に形成されることが分かった。機能ファネルのアイデアは寺田らによる抽象モデルの研究によって提唱されていたが(Terada, Sasai, Yomo, PNAS 2002),それがアクトミオシンの立体構造と分子間相互作用を考慮した現実的なモデルによって示された。エネルギー地形が非対称ファネルになるには,1)アクチンフィラメントのらせん構造,2)アクチンの負に荷電したアミノ酸が密集した領域とミオシンの正に荷電したアミノ酸に富んだ領域間での静電相互作用,の2つが重要であることがわかった。そして,水和の静電エネルギー,およびカウンターイオンがエネルギー地形に及ぼす影響を調べた。 一方,ミオシン分子単体のエネルギー地形の特徴をみるため,天然構造に向かって緩和するときのミオシン分子の挙動を調べた。その結果,低温ではガラス的な挙動が観測され,さらに構造緩和の最中では揺らぎと応答の関係式(揺動散逸関係)が成立せず,ミオシン分子の実効的な温度が環境温度よりも高くなることが分かった。この局所的な"高温"がミオシンの滑り運動にどのように寄与するのか,さらに関心のあるところである。
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Research Products
(3 results)