2006 Fiscal Year Annual Research Report
ジテルペン配糖体をツールとする細胞内信号伝達経路の解析と制御
Project/Area Number |
18032047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 修雄 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50150537)
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Keywords | 細胞内信号伝達 / ジテルペン配糖体 / コチレニン / 14-3-3タンパク質 / フシコクシン / 抗がん剤 / 細胞分化誘導活性 |
Research Abstract |
H^+-ATPaseは14-3-3タンパク質の会合によって活性化される。ジテルペン配糖体コチレニン(CN)は、この会合状態を安定化することで強力な植物ホルモン様活性を示す。14-3-3タンパク質が細胞内信号伝達系を制御しているので、CNは細胞内信号伝達経路の解析と制御に極めて有用なツールとなり得る。実際、CNは植物に対する活性のみならず、急性骨髄性白血病細胞(HL-60)に対する分化誘導活性を持つ。しかしながら、酷似した化学構造を有するフシコクシン(FC)はこの活性を有しない。 そこで、本年度はCN/FCの分化誘導活性に対する構造活性相関研究を展開した。その結果、FC類アグリコン部に存在する12位水酸基が活性発現を妨げることを明らかにした。そして、分化誘導型新規抗がん剤リード、ISIR-005の創出に成功した。 この結果は、12位に水酸基の存在しないFC類縁体を生産できれば、医薬開発への道が開けることを意味する。そこで、山形大学農学部の研究グループと共同で、FC生合成関連遺伝子の解明研究を展開した。その結果、アグリコン部の基本骨格であるフシコッカジエンを形成する合成酵素遺伝子(PaFS)の特定に成功した。さらに、組換え酵素として得たPaFSの機能解析の結果、本酵素が環化酵素活性を持つだけでなく、イソプレン単位からGGDPを合成するプレニル鎖伸長活性をも有する新奇なキメラ型酵素であることを明らかにした。 一般に14-3-3タンパク質は…RSXpSXP…なるペプチド鎖を認識会合する。既に明らかにされているX線構造解析を参照した結果、14-3-3タンパク質とリン酸化ペプチドの会合状態に対するCN/FCの安定化効果が、+1位のアミノ酸に依存することが予想された。 実際、等温滴定カロリメトリーで評価した結果、CN/FC類の安定化効果が+1=Val選択的であることを見出した。
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Research Products
(2 results)