2006 Fiscal Year Annual Research Report
淡水藻類の細胞分裂形態変化を与えるアレロケミカルの探索と分子機能解明
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18032053
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大井 高 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (00203696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 武徳 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70015882)
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Keywords | ミジンコ / イカダモ / カイロモン / 形態変化 / 硫酸エステル / 絶対配置 / プランクトン / LC / MS |
Research Abstract |
水域の食物連鎖において一次生産者である植物プランクトンは生態系を支える大きな役割を果たしている。捕食者に対してほとんど無抵抗であると考えられてきた植物プランクトンも様々な戦略を捕食者から身を守っていることが明らかになってきた。淡水産緑藻イカダモScenedesmusは単細胞型から2,4または8細胞からなるコロニーへと自らの形態を変化させ捕食者であるミジンコDaphniaに抵抗している。我々は単細胞緑藻Scenedesmus gutwinskii var.heterospina(NIES-802)の形態変化を引き起こすDaphniaカイロモンが脂肪族硫酸エステルおよび脂肪族流酸アミド類であると同定した。構造活性相関の知見を得る目的で炭素数の異なる直鎖飽和脂肪族硫酸エステル類,分岐メチル基の位置,極性官能基の種類の異なる化合物等についてアッセイを行った結果、直鎖飽和脂肪族硫酸エステル類では炭素数6までは全く活性がなく8、9で最も強い活性を示し10以上では活性が低下することが分かった。また、末端ジメチル構造をもっ硫酸エステル類は特に低濃度で強い活性を持つことが分かった。硫酸アミド類は対応する硫酸エステル類よりも低活性であり、スルホン酸も硫酸アミドより弱いものの活性を示した。カルボン酸、脂肪族リン酸エステルは活性を示さなかった。また、LC/MSによる硫酸エステル類の分析についても検討した。また,NIES-802の活性物質として同定されたこれら硫酸エステル類は同属の緑藻S.acutus(SA-1)には全く活性を示さなかった。ミジンコ抽出物よりSA-1に対する活性物質の同定を試みたところブタノール抽出によっても水層に残存し、またODSカラムについても純水によって溶出されてしまう極めて高極性なものであり、アミノ酸またはオリゴペプチドと推定された。
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