2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体系の界面吸着膜のシナジズム-相転移、濡れ転移、薄膜形成の観点から-
Project/Area Number |
18045026
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
荒殿 誠 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (20175970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧上 隆智 九州大学, 大学院理学研究院, 助教授 (40271100)
松原 弘樹 九州大学, 大学院理学研究院, 助手 (00372748)
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Keywords | イオン液体 / 表面吸着膜 / 吸着膜相転移 / 濡れ転移 / 臨海溶解温度 |
Research Abstract |
1.1-Hexyl-3-methylimidazolium tetrafluorborate (HMIMBF4)系の水溶液表面での吸着 この系の表面張力vs濃度曲線は100 mmol kg-1付近に折れ曲がりを示して濃度変化が急激になったあと120 mmol kg-1で2段目の折れ曲がりを示し表面張力は一定となる。HMIMBF4の表面吸着量の濃度依存性と吸着分子モデルとの比較から、一段目の折れ曲がり直前ではヘキシル基を空気相に向けてイミダゾリウムリングとアニオンがほぼ同一平面にあるような密な単分子膜層を、また折れ曲がり直後ではこの単分子膜が3層に縦方向に並んだ構造をしている可能性が高いことが示唆された。2段目の折れ曲がり以降では通常の球状ミセルが分散している状態ではないことが示された。 2.水/1-Hexyl-3-methylimidazolium tetrafluorborate (HMIMBF4)系の臨界溶解と濡れ挙動 二つの液相共存系の臨界溶解温度に温度が近づくと、非濡れであった系が完全濡れを示すようになる。これは濡れのカーン転移として知られている。イオン液体HMIMPF6のアニオンPF6-をBF4-に変えると親水性が増し、実験可能な温度範囲まで上部臨界溶解温度が下がることが期待される。水/(HMIMBF4)系の相互溶解度曲線を作成すると、イオン液体のモル分率が0.05(重量分率では40%)で54℃に上部溶解臨界溶解温度があるということがわかった。この系のイオン液体上の水レンズの二面角を測定した。レンズの写真を右図にいれてある。30℃で約110度、53℃で約60度であった二面角が、この温度付近から急激に低下し53.93℃ではゼロとなる。すなわち非濡れ-濡れ転移がこの温度で起きていることがわかる。このように臨界温度のごく近傍まで濡れ転移が起こらない場合には、レンズ相で構造性の高い組織体ができていることが知られている。水溶液の表面張力や電気伝導度の測定はそのことを支持する結果となっている。
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