2006 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪組織におけるAMPKファミリーの生理的並びに病態生理学的意義
Project/Area Number |
18052022
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
箕越 靖彦 生理学研究所, 発達生理学研究系, 教授 (10200099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志内 哲也 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助教 (70372729)
鈴木 敦 生理学研究所, 発達生理学研究系, 特任助教 (50418993)
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Keywords | 脂肪細胞 / AMPキナーゼ / ARK5 / レプチン / 肥満 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
脂肪組織は、今日、メタボリックシンドロームを引き起こす原因組織として注目されている。申請者らはこれまで、主として骨格筋と視床下部においてAMPキナーゼ(AMPK)の役割を明らかにしてきたが、脂肪組織におけるAMPKの調節作用はほとんど解明されていない。そこで我々は、本研究において、AMPK並びにAMPKファミリーの一つであるARK5が脂肪組織の代謝にどのような調節作用を営んでいるかを調べた。その結果、レプチンが脂肪組織にも直接作用を及ぼしてAMPKを活性化し、acetyl-CoA carboxylase(ACC)の活性を抑制することで脂肪酸酸化を促進することを見いだした。また、本来、脂肪組織ではほとんど発現していないARK5が、ob/ob肥満マウスや高脂肪食負荷マウスにおいて著しく発現することを発見した。活性抑制型ARK5を3T3LIに発現させると、インスリンによる分化促進作用及びグルコースの取り込み促進作用が低下することから、ARK5はインスリン作用を増強すると考えられる。興味深いことに、ARK5はACCをリン酸化しなかった。一方、ob/ob肥満マウスや高脂肪食を摂取させたマウスの脂肪組織ではAMPKの発現が著しく低下していた。これらの実験結果から、我々は現在、脂肪組織におけるAMPK及びARK5の代謝調節作用を以下のように考えている。すなわち、通常の脂肪組織ではレプチンやアディポネクチンはAMPKを介して脂肪酸酸化を引き起こすことができる。これに3対して、ob/obマウスや高脂肪食負荷マウスの脂肪組織では、AMPKの発現が低下するために脂肪一酸酸化を促進することができず、むしろARK5が発現することによってインスリン作用が亢進し、脂肪細胞の分化、脂肪の蓄積が促進される。平成19年度はこの分子機構をより明らかにしたいと考えている。
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Research Products
(10 results)