2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規シグナル分子によるグリア-ニューロン相互回路網構築の可能性探究
Project/Area Number |
18053009
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
米田 幸雄 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (50094454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宝田 剛志 金沢大学, 自然科学研究科, 教務職員 (30377428)
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Keywords | 骨関節系細胞 / 制御遺伝子 / 神経細胞 / アストログリア細胞 / ミクログリア細胞 / Sox9 / Runx2 / Osterix |
Research Abstract |
我々は既に、脳内におけるグルタミン酸シグナル伝達に必要な、(1)出力系、(2)入力系および(3)停止系に関連する分子装置がすべて、骨形成能を有する骨芽細胞に機能的に発現する事実を見出した。骨格を構成する骨組織には、骨形成を担う骨芽細胞、骨吸収を担う破骨細胞および軟骨細胞が主に存在するが、これらの細胞における分化と成熟過程は、Runx2,Osterix, Sox9,RANKおよびRANKL等の各種シグナル分子により精密に制御されることが知られている。したがって、今回はこれら骨組織に発現するシグナル分子群について、中枢神経系における機能的発現の可能性を探究した。胎生15日目および生後8週令ddY系マウスの全脳を用いて、Runx2、Osterix、Sox9、RANKおよびRANKLの発現をRT-PCR法を用いて検討した結果、発達脳および成熟脳ともにRunx2、OsterixおよびSox9のmRNA発現が認められたが、RANKやRANKLのmRNA発現は観察されなかった。成熟マウス脳において、Sox9のmRNAはほぼ均一な分布様相を示したが、Runx2は特に海馬、線条体および大脳皮質に高いmRNA発現が認められた。一方、Osterixは大脳皮質と線条体に高い発現を示したが、海馬でのmRNA発現量は低値であった。これら三種類の発現遺伝子群の中で、Runx2とSox9はともに初代培養ラット神経細胞、アストログリア細胞およびミクログリア細胞に検出されたのに対して、OsterixのmRNAの場合はミクログリア細胞での発現は認められなかった。以上の結果より,骨組織において分化と成熟を制御するシグナル分子が、脳内においても発現する事実が明らかとなった。今後は、これらシグナル分子の中枢神経系における生理学的および病態生理学的意義を追究する予定である。
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Research Products
(2 results)