2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18064001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮浦 憲夫 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (10002049)
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Keywords | ホウ素化学 / 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 構造・機能材料 |
Research Abstract |
本研究は、ホウ素やケイ素化合物のBt,B-B,Si-Si結合と遷移金属錯体の触媒反応で最も重要かつ未解決な課題である遷移金属錯体とB-B,Si-Si,B-C,Si-C結合化合物のトランスメタル化反応、H-B,B-B,Si-Si,B-C,B-halogen結合化合物の遷移金属錯体に対する酸化付加反応、およびこれらの反応で生成する金属錯体中間体の化学的調査を中心課題として実施する。 1)トランスメタル化を経由する遷移金属・ホウ素錯体の形成 この研究に関連して我々はアルキンのシス選択的ヒドロホウ素化反応、有機ハロゲン化物のホウ素化反応、B-B化合物の共役付加反応などを報告している。鍵中間体であるPd-BやRh-B錯体を調製して付加・カップリング反応に対する化学的調査を行った。特に、末端アルキンのシス選択的ヒドロホウ素化反応は他に例を見ないビニリデン錯体を経由するヒドロメタル化法であることを報告している。機構的調査を開始し中間にRh-B錯体の生成を明らかにした。 2)トランスメタル化反応を経由する遷移金属-炭素錯体の形成 金属-炭素結合の化学は本特定領域の課題に含まれないが、有機合成を目的とした触媒サイクルに極めて重要であることから、RhやPd錯体に対するB-C,Si-C,Bi-C結合のトランスメタル化反応の機構的調査を行った。カチオン性Pd錯体とアリールボロン酸反応における中間体の単離生成の速度論的調査を報告した。アリルトリフルオロボレート塩のクロスカップリング反応を開発し、トランスメタル化反応の機構的調査を行い、カチオン性アリールパラジウム中間体からトランスメタル化すると結論付けた。 3)酸化付加反応を経由する遷移金属・ホウ素錯体の形成 元素間結合の低原子価金属錯体に対する酸化付加反応は最も汎用性の高い金属・典型元素結合の形成法であり、我々はジボロンのアルケン、アルキンに対する付加反応や芳香族C-H結合の直接ホウ素化反応に利用してきた。特に、Ir-B,Rh-B錯体は我々が最近展開している芳香族C-Hホウ素化反応の鍵中間体であり、これを発展させてアルケンC-Hホウ素化、アリルC-Hホウ素化、アルキンC-Hホウ素化を目指した錯体化学的調査を開始した。ビニルエーテルのC-Hホウ素化を達成した。
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Research Products
(19 results)