2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18066008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 重樹 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (20113425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 武志 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (30397583)
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Keywords | 化学反応 / ダイナミックス / 溶液 / 励起状態 / 酵素反応 |
Research Abstract |
本研究では、溶液内やタンパク質における化学反応を自由エネルギー面に基づいて調べるための方法論の開発と応用を行った。このような凝縮相中の化学反応では、溶質と溶媒、あるいは基質とタンパク質の相互作用を適切に考慮することが不可欠となる。また、溶媒やタンパク質は統計的に揺らぎながら様々な配置を取るため、エネルギーでなく自由エネルギー面に基づいて化学反応を議論するのが望ましい。そのような方法として、これまでRISM-SCF法(分子性液体の積分方程式と電子状態理論を結合した方法)、あるいはLRFE-SCF法(線形応答自由エネルギーと電子状態理論を結合した方法)を開発し、その応用を行ってきた。平成21年度は、森によって作成されたRISM-MP2法の解析的自由エネルギー微分のプログラムを用いて、有機金属触媒の一つであるGrignard試薬のジエチルエーテル中での平衡およびアセトンとの反応メカニズムをまず調べた。その結果、従来想定されていたcyclic dimerではなくlinear dimerを経由する反応メカニズムの方が優先的に起こることなどが分かった。次に、気相・液相中における光励起緩和過程のメカニズムを調べることを目的として、最低エネルギー円錐交差(conical intersection)の配置をMS-CASPT2レベルで直接定量的に求めるための方法を開発した。これをメタノール中レチナールシッフ塩基などに適用し、円錐交差が溶媒から受ける影響について議論した。最後に、電子分極の効果を顕に含むタンパク質の一般分子力場をcharge response kernel (CRK)に基づいて構築し、それをMet-Enkephalin分子の統計分布などに応用した。さらに、CRKに基づいた分子動力学計算を行い、通常の液体とイオン液体の動的な性質の違いについて議論した。
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Research Products
(7 results)