2007 Fiscal Year Annual Research Report
年縞の分析による年単位の環境史復元と稲作漁労文明の興亡
Project/Area Number |
18100007
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
安田 喜憲 International Research Center for Japanese Studies, 研究部, 教授 (50093828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 隆夫 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (70115799)
笠谷 和比古 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (90124198)
竹村 恵二 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00201608)
林田 明 同志社大学, 理工学部, 教授 (30164974)
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Keywords | 年縞 / 年単位の環境史 / 稲作漁労文明史 / 一の目潟 / カンボジア / プンスナイ遺跡 / アンコールトム / 環境考古学調査 |
Research Abstract |
1.平成19年4月-20年3月には、平成18年度に採取した秋田県一の目潟の年縞堆積物の各種分析を実施し、過去2000年間の男鹿半島周辺の環境史を高精度に復元できた。年縞の顕微鏡による枚数計測のためにスライドを作成し年代決定、AMS年代測定、機器分析、花粉分析・珪藻分析・古地磁気分析・プラントオパール分析・大型植物遺体分析などを実施した。分析にはフィンランド・ドイツ・ポーランド・イギリスの研究者の協力も得た。これらの年縞堆積物の分析により稲作漁労文明を興亡させたモンスーンアジアの気候変動や環境変動が年単位で解明でき、歴史との対応関係を解明できた。こうした最近の成果は平成19年9月12日-15日の間にポーランドで開催された国際環境考古学会において発表した。 2.平成19年4月-11月の間、平成18年度に発掘調査した考古遺物の整理をプノンペンの整理室で実施した。出土した大量の土器の復元と編年作業の結果、あらたな土器編年を確立した。また大量に出土した青銅器やビーズ、ガラスの蛍光X線分析の鉛同位対比分析を実施した結果、プンスナイ遺跡から出土した青銅器の原料はメコン川の上流部の中国南部原産であることが判明した。平成19年12月-平成20年1月には、カンボジアのプンスナイ遺跡の考古学的発掘調査と遺跡周辺の環境考古学的調査を実施した。平成19年度のプンスナイ遺跡の考古学的発掘調査によって、厚さ20センチトール前後に漆喰を全面に塗り、頂部に大型の平らな石を置き、水が流れるように溝が漆喰で作られた水の祭壇と思われるものが発見された。北西部からは屈葬で明らかに生贅になったものとみなされる人骨が発見された。水の利用を究極まで推し進めたアンコールワットの水を核にしたクメール文明の起源が、西暦1-3世紀のプンスナイ遺跡の水の祭壇にまでさかのぼる可能性がでてきた。平成20年1月21日に現地で記者発表を実施し、NHKニュース、読売新聞、日本経済新聞、共同通信、Cambodian Dailyなど各誌にニュスとして取り上げられた。またプンスナイ遺跡の発掘記録は2007年11月23日にNHK総合テレビの特別番組、2008年4月26日のTBS不思議発見などでも取り上げられた。 3.平成19年9月23日と9月24日には研究分担者と研究協力者による研究会を京都で開催し、研究打ち合わせと研究計画の立案を実施した。
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Research Products
(18 results)