2008 Fiscal Year Annual Research Report
長崎県北松浦郡鷹島周辺海底に眠る元冦関連遺跡・遺物の把握と解明
Project/Area Number |
18102004
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
池田 栄史 University of the Ryukyus, 法文学部, 教授 (40150627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根元 謙次 東海大学, 海洋学部, 教授 (70164663)
佐伯 弘次 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (70167419)
後藤 雅彦 琉球大学, 法文学部, 准教授 (30291553)
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Keywords | 元寇 / 鷹島海底遺跡 / 旧江戸幕府軍艦「開陽丸」 / 海底探査 / 音波探査器 / 「てつはう」 / 元寇関連遺物 |
Research Abstract |
本年度は初めに海底堆積物の内容が明らかな北海道江差港に沈む旧江戸幕府軍艦「開陽丸」での探査実験を行なった。その結果、海底に堆積した木材では反応する音波の周波数が極めて限られることを確認した。このことは海底堆積層中に埋もれた考古学的遺物は、素材によって、それぞれに反応する音波周波数が異なる可能性があることを示す。この知見を踏まえ、伊万里湾での探査では、概査で検出した異常反応について、周波数を変えるなどの手法を用いた精査を行なった。この結果、異常反応の相違を手がかりとして、これを8つに類型化することができた。ただし、時間的な制約もあり、この8つの異常反応の内容を明確に判別するにはいたっていない。 このことからすれば、伊万里湾の探査、特に音波探査器を用いた調査では、元寇関連遺物を含む海底堆積物の位置や反応の大きさについて、極めて簡単に確認できることが明らかであるものの、船材や武器・武具類などという反応物の素材を判別するには限界があることとなる。これを解消するには、従来、試みられていた水中考古学的調査などによって、異常反応の内容を確認することが必要となる。 なお、本研究3年間の中間報告書として、以上のような伊万里湾および北海道江差港沖開陽丸に関する海底探査成果についてまとめ、2冊の報告書を刊行した。 また、鷹島海底遺跡出土資料の考古学的資料化については、その成果の一部を平成20年3月に松浦市教育委員会から刊行された『松浦市文化財調査報告書』第2集に掲載したその中では、これまでに引き揚げられた資料の船材について、長さや幅の点では個々の変化が激しいものの、厚さには現在の約3cm(ほぼ1寸)を単位としたまとまりがあることを明らかにした。このことは船材の準備や加工の際に、約3cmを単位とする尺度が採用されていたことを示唆する。また、出土遺物中の土製円球状製晶については、宮内庁が保有する『蒙古襲来絵詞』に描かれている火薬を詰めた爆発弾である「てつはう」と考えられるが、実測作業を通して、その製作技法を復元した。
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Research Products
(5 results)