2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18107002
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
筒井 和義 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20163842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南方 宏之 (財)サントリー生物有機科学研究所, 部長研究員 (90150143)
浮穴 和義 広島大学, 大学院総合科学研究科, 准教授 (10304370)
田中 滋康 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (90146233)
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Keywords | 視床下部ホルモン / 脳下垂体ホルモン / 発現制御 / シグナル伝達 / 生殖 |
Research Abstract |
動物の生殖を制御する脳機構の新しい理解には、まず重要な新規脳分子を同定し、新規脳分子の作用を分子、細胞、個体の各レベルから解析することが不可欠である。2000年に我々は生殖腺刺激ホルモンの放出を抑制する新規の視床下部ホルモンを鳥類から発見して、生殖腺刺激ホルモン放出抑制ホルモン(GnIH)と名付けた。その後の研究により、GnIHと構造の類似する同族ペプチドが他の脊椎動物にも存在していることが示唆された。本研究は、(1)ヒトなどの高等哺乳類から無脊椎動物にまで広く存在すると考えられるGnIH同族ペプチドを同定してGnIHとGnIH同族ペプチドの起源と構造の分子進化を明らかにすること、さらに(2)これらの新規脳分子による新しい生殖制御機構の解明などを目的として実施した。本年度は、霊長類のヒト、哺乳類のハムスター、両生類のカエルとイモリなどの脳からGnIH同族ペプチドを同定して構造を明らかにした。次に、ヒトとハムスターから同定したGnIH同族ペプチドの生理作用を解析した結果、これらのGnIH同属ペプチドは生殖を制御する生殖腺刺激ホルモンの放出を抑制することが見いだされた。一方、カエルとイモリから同定したGnIH同属ペプチドは生殖を制御する別のホルモンであるプロラクチンの放出を促進することが見いだされた。次に、これらのGnIH同属ペプチドの受容体を同定して、GnIH同属ペプチドの作用機構を解析した。その結果、GnIH同属ペプチド受容体は脳下垂体に発現していることから、GnIH同属ペプチドは脳下垂体に作用して生殖腺刺激ホルモンとプロラクチンの放出を制御することが明らかになった。さらに、新たに同定したGnIH同族ペプチドの発現制御機構を解析したところ、メラトニンがGnIH同族ペプチドの発現を誘導していることが示唆された。
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Research Products
(45 results)