2007 Fiscal Year Annual Research Report
2007世界陸上(大阪)における競技技術の国際比較
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18200040
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 章 Osaka University of Health and Sport Sciences, 体育学部, 教授 (80067248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 寛道 東京大学, 新領域創成科学研究科, 客員教授 (60023628)
阿江 通良 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (10175721)
深代 千之 東京大学, 情報学環, 准教授 (50181235)
飯干 明 鹿児島大学, 教育学部, 教授 (20117477)
藤井 範久 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (10261786)
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Keywords | 世界一流選手 / 陸上競技 / 動作解析 / バイオメカニクス |
Research Abstract |
平成19年8月25日から9月2日まで大阪の長居陸上競技場において開催された第11回世界陸上競技選手権大会において,研究代表者と分担者および協力者たちは,競技中の選手の動作を高速度ビデオ撮影し,数種目については同時に速報的な要求に応えるために動作解析も行ったが,現在も継続的に動作解析を行っている.日本陸上競技連盟や国際陸上競技連盟(IAAF)へも短報として報告している.たとえば,男子100mに関しては以下のような知見を明らかにした.すなわち,優勝者のTyson Gay 選手(以下「ゲイ選手」とする)と三位で現世界記録保持者のAsafa Powell選手(以下「パウエル選手」とする)の走りと日本代表選手である朝原宣治選手と塚原直貴選手の走りを,スタートダッシュと最高疾走速度での疾走に関して,2台の高速ビデオカメラによって撮影し,DLT法を用いて三次元動作解析した. その結果,特に朝原選手の最高速度での疾走動作に興味深い特徴が見られた.すなわち,最高疾走速度が11.56m/sであった朝原選手のストライドは,11.85m/sのゲイ選手とほとんど違いが無かったが,ピッチが遅かった.つまり身長が似通った両選手(身長は朝原選手が11.79m,ゲイ選手が11.83m)の最高疾走速度の差は,ストライドではなくピッチにあることが分かった.そこで,朝原選手のピッチの遅さはどこに起因しているのか調べたところ,キック終了後に前に脚を運ぶ動作にあることが分かった.ゲイ選手に比べ朝原選手はキック終了後に膝を著しく深く屈曲し,その後のもも上げの高さも著しく高いことが判明した.つまり,キック終了後の脚動作が"おおげさ"であるため,時間がかかり,結果的にピッチが遅くなってしまったと考えられた.この内容は陸上競技の普及誌である「月刊陸上競技(講談社)1月号」において朝原選手に語りかける形で公表した.
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Research Products
(3 results)