2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチューブ内に束縛された原子・分子の構造制御と物性研究
Project/Area Number |
18201017
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
片浦 弘道 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノテクノロジー研究部門, 研究グループ長 (30194757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真庭 豊 首都大学東京, 都市教養学部, 助教授 (70173937)
岡田 晋 筑波大学, 数理物質科学研究科, 助教授 (70302388)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / 分子内包 / ピーポッド / フォトルミネッセンス / エネルギー移動 |
Research Abstract |
レーザー蒸発法により作製した単層カーボンナノチューブ(SWCNT)や市販のSWCNTを用いて、分子内包SWCNTを作製し、その光物性や相転移等を調べた。 1.孤立SWCNTへのドーピング効果 SWCNTに電子やホールをドープすると、半導体の第一バンドの状態密度が変化し、光吸収やフォトルミネッセンス(PDが抑制されることが知られているが、実験的にはドーピングに伴い、外部からSWCNTに与えられる様々な影響を考慮する必要があり、純粋にドーピングの効果のみを観察するのは困難であった。そこで、ホールドーパントであるFeC13をSWCNT内部に挿入することにより、SWCNTの内部からキャリア制御を行い、そのPLがどのように変化するかを調べる事により、SWCNTのPLのメカニズムを調べた。その結果、光吸収の変化の直径依存性とPL消光の直径依存性に明らかな違いが観測され、直径の細いSWCNTの発光がより強い消光を示した。この光吸収と発光の直径依存の不一致は、直径によりドーピングの効果の現れ方が異なるという事を示している。このような直径依存性に関しては、細いSWCNTほど電子相関が強くなると考えられることから、一つの可能性としてAuger効果が挙げられる。 2.内包分子によるSWCNTの電子構造変調 SWCNT内に色素分子を内包したSWCNTを作製し、そのPL特性を測定したところ、本来であれば、PLの観測されない金属型SWCNTの光吸収に相当する波長域に、強い発光が観測された。X線構造解析や過渡吸収分析等も行った結果、内部にある色素分子が励起され、そのエネルギーがSWCNTに瞬時に移動し、SWCNT内で緩和、発光している描像が明らかとなった。これは、SWCNTに異分子を挿入する事により、SWCNTの電子構造を変調できるという事をはじめて示した非常に重要な意味を持つ結果である。
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Research Products
(12 results)