2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチューブ内に束縛された原子・分子の構造制御と物性研究
Project/Area Number |
18201017
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
片浦 弘道 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノテクノロジー研究部門, グループ長 (30194757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真庭 豊 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (70173937)
岡田 晋 筑波大学, 数理物質科学研究科, 准教授 (70302388)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / 分子内包 / ピーポッド / フォトルミネッセンス / エネルギー移動 |
Research Abstract |
今年度は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)に分子を挿入する手法を新たに開発し、これまで試みられなかった壊れやすい分子の内包を重点的に行い、閉じこめた生体分子や有機分子の構造と、その熱処理による変化を高解像度電子顕微鏡観察や、スペクトロスコピーにより解明した。 まず、レチナールという網膜内に存在し、人間の視覚に大きく関与する分子をフラーレンと結合させた分子を新たに合成し、SWCNT内に挿入する事にはじめて成功した。出来た試料を高解像度の電子顕微鏡で観察したところ、レチナール分子がシス型となったりトランス型となったりするのを、世界ではじめてリアルタイムで直接観察する事に成功した。実際の視覚においては、光照射によりシスートランス転移を生じると考えられているが、ここでは観察時の電子線照射によって同様な遷移が生じたものと考えられる。レチナールは、壊れやすい生体分子で、通常の条件では電子顕微鏡観察することは不可能である。次に、SWCNT内にフェロセンを挿入した系では、フェロセンからSWCNTへの電子移動が観察される等の変化が分光測定により観測されたが、これをさらに高温で熱処理することにより、内包されたフェロセンがSWCNTに変化する様子が詳細にとらえられた。(結果として、2層ナノチューブが形成された)特に、高分解能電子顕微鏡観察で、鉄カーバイドの形成が内部SWCNTの成長に関与している事が明らかとなった。(触媒機能の直接観察)これは、これまで報告のあるフラーレンから成長する内包SWCNTとは全く異なる成長機構であり、事実、生成されたSWCNTの螺旋構造にも差異が観測された。
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Research Products
(23 results)