2006 Fiscal Year Annual Research Report
シーア派諸社会の特質とネットワークを考察するための総合研究
Project/Area Number |
18201048
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山岸 智子 明治大学, 政治経済学部, 助教授 (50272480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 繁 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70152840)
酒井 啓子 東京外国語大学, 大学院地域文化研究科, 教授 (40401442)
富田 健次 同志社大学, 神学部, 教授 (80249680)
保坂 修司 近畿大学, 国際人文科学研究所, 教授 (80421220)
飯塚 正人 東京外国語大学, アジアアフリカ言語文化研究所, 助教授 (90242073)
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Keywords | 国際研究者交流 / 多国籍 / イスラーム / ネットワーク / 地域研究 / 東洋史 / 国際関係論 / アイデンティティ |
Research Abstract |
2006年度は、これまでの研究の見直しと新しい視点からシーア派社会にアプローチする方法の模索を中心的な課題とした。この目的で、英国のエジンバラ大学からニューマン教授を、イランから碩学ジャアファリヤーン師を招いて研究会を開いた。イスラーム初期からのシーア派信徒の移動を史料でたどるジャアファリヤーン師の研究からは漠然と言及されてきたネットワークの歴史的形成とイラン・イラクの学者の交誼について新しい識見を得ることができた。また本プロジェクトメンバーの神話的預言者の位置づけに焦点をあててイスラーム神学形成を分析する試み、ニューマン教授の社会史的な視点をいれて内的な思想展開以外の側面を見る試みについて議論した。こうした議論をとおして、欧米でのシーア派研究史について批判的見直しを行うことも出来た。 プロジェクト発足時には予定していなかったことだったが、7月のレバノン・イスラエル交戦は本プロジェクトに直接かかわる出来事であったため、レバノンのシーア派について考察する研究会を開いた。南レバノンのシーア派政党ヒズブッラーの国内的な位置取り、国際政治における扱いなどを検証した。また同時に、激化するイラクの状況のなかでワッハーブ派がシーア派をどのように糾弾しているかも検証し、レバノン・イラクあわせてシーア派集団を相対的に見る観点を養った。 1月の研究会では、シーア派研究の枠組みをふりかえり、シーア派初期の反乱の背景にある錯綜した系譜・婚姻関係を史料から起こし、シーア派を特徴付ける「イマーム(指導者)」の社会的条件について改めて考察した。 こうした研究会に加え、イエメン、イラン、シンガポール、パキスタン、バハレーンにおいて各自で資料収集や現地調査を進めた。現地調査の成果については19年度の研究会などで発表してもらい、質疑応答にかけて、より完成度の高いものにする予定である。
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Research Products
(65 results)