2007 Fiscal Year Final Research Report Summary
シーア派諸社会の特質とネットワークを考察するための総合研究
Project/Area Number |
18201048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Area studies
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
山岸 智子 Meiji University, 政治経済学部, 准教授 (50272480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 繁 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (70152840)
酒井 啓子 東京外国語大学, 大学院・地域文化研究科, 教授 (40401442)
富田 健次 同志社大学, 神学部, 教授 (80249680)
保坂 修司 近畿大学, 国際人文科学研究所, 教授 (80421220)
飯塚 正人 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (90242073)
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Project Period (FY) |
2006 – 2007
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Keywords | イスラーム / 多国籍 / ネットワーク / 地域研究 / 東洋史 / 国際関係論 / 宗教学 / アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究は、これまでのステレオタイプ的なシーア派観はもとより、シーア派が「問題化」する構造を解明するために、構築主義的な観点を導入し、シーア派の哲学思想・宗教実践・社会集団化のコンテクストを分析することを課題とした。研究分担者・研究協力者が会合を持って、これまでの研究を振り返り、自らの研究の取り組みについて議論したのみならず、英国・イラン・アメリカ・アラブ首長国連邦・レバノンから一線級の研究者を招聘して意見交換をし、交流の道を開き、こちらからも10カ国以上に赴いて資料収集・現地調査・研究発表などを行った。こうして得た成果は多岐にわたるが、以下のようにまとめられるだろう。 1.多様性:さまざまな例が示され、シーア派とはいっても、その集団としてのありようや位置づけが多様であることが、明らかになった。それは、立場の違い(サラフィーヤ主義者とシーア派信徒)や国・地域の違いのみならず、一つの地域・家族でも状況の変化によるシーア派アイデンティティに変化があることが分かった。 2.新しい学問的アプローチ:思想研究に歴史的観点を導入する、「人」という観点から思想の展開や指導者の条件を見直す、思想の中のモチーフの見直し、などアプローチや観点を変えることで、新たな知見を得た。 3.ローカルとグローバルのインターフェース:宗派として国民国家のなかに位置づけられる際にも、国際的な力学や国家を越えるネットワークが関連すること、宗派の絆のグローバルな経済活動への活用、信徒や学者の国を越えた移動の実際、などが明らかとなった。 4.これまでの研究の空白を埋める:そしてシーア派としての制度・知の再生産にかかわるイスラーム法学者のありさまや教育の実態、宗教的慣行など、十分に解明されてこなかったピックも本研究で考察の対象となり、さまざまな発見があった。
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Research Products
(178 results)