2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト・グローバル化時代の現代世界:社会の脆弱化と共存空間
Project/Area Number |
18201050
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
押川 文子 Kyoto University, 地域研究統合情報センター, 教授 (30280605)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 勇介 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (70290921)
小森 宏美 京都大学, 地域研究統合情報センター, 准教授 (50353454)
臼杵 陽 日本女子大学, 文学部, 教授 (40203525)
大津留 智恵子 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
石井 正子 大阪大学, グルーバルコラボレーションセンター, 准教授 (40353453)
|
Keywords | グローバル化 / 格差 / 国際移動 / 政治的安定性 / 教育格差 / 中間団体 / 選挙行動 / ネオリベラリズム |
Research Abstract |
最終年度にあたり、これまでの現地調査や文献調査をもとに研究会を実施し、研究成果の総合化をはかるとともに、拡大研究会や国際シンポジウムを実施して、成果の公表と検討および残された課題についての検討をおこなった。 本科研の課題であったポスト・グローバル化の現代世界の特質として、本科研は、重層的で相互に連関する国内外の格差の構造、すなわち「格差のリンケージ」に着目し、その具体的なあり方を、(1)人の移動など直接的な結果、とともに(2)途上国における上昇機会の可視化と先進国の格差拡大の同時進行による国境を越えた格差・不平等の構造の形成,(2)格差(拡大)の認識や格差に関する言説における大きな地域的多様性、(3)格差是正策の実施における政治的安定性・民主化・開発プロセスへの住民参加等の役割の拡大、に焦点をあてて分析した。2009年1月に実施した最終シンポジウムでは、これらの点をめぐって、移動、教育、政治的安定性の3つの領域で検討を実施した。 これらの研究活動の成果として、地域社会の結びつきの基盤としてあったコミュニティ、家族、組織や政治団体等中間団体の中で格差が拡大し、従来の一体性や生活の安全保障機能の縮小や個人・世帯による機会の不均等が顕著になっている状況が各地の事例において確認されるとともに、格差の程度そのものよりも、当該社会における「格差」の認識や言説のあり方、それと連動した政治的権利や発言権の保証が、格差是正や社会的公平・公正を求める具体的な動きとその制度化に大きな影響を与えていることが確認された。
|
Research Products
(36 results)