2008 Fiscal Year Annual Research Report
法教育を中心とした公務員養成・研修制度のアジア・ヨーロッパ比較研究
Project/Area Number |
18203003
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木佐 茂男 Kyushu University, 大学院・法学研究院, 教授 (30122039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯村 篤範 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70192490)
大西 有二 北海学園大学, 法学部, 教授 (60176956)
福士 明 札幌大学, 法学部, 教授 (60142676)
北川 善英 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (50115557)
渡邊 弘 活水女子大学, 健康生活学部, 講師 (00389537)
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Keywords | 公務員 / 地方自治体 / 研修 / 法教育 / 法務 / 中国 / 韓国 / ドイツ |
Research Abstract |
2006年度から3カ年にわたる本研究は、本年度が最終年度であった。(1)公務員の養成・研修制度の比較研究の基本フレーム設定と、(2)小中学校教員の社会科における法教育に向けた教員の法教育の分析と研究の二つの柱で研究を進めた後、日本国内の地方自治体の職員に対する法務研修の実態調査を進め、他方で、各年度とも国際シンポジウムを重ねてきた。2008年度は、秋に海外から多数の協力研究員も招き3目間にわたる報告と討論を行った。これにより、アジアとドイツ、アメリカを視野に入れた「法の支配」ないし「法治主義」の普及の実態と課題が相当程度明らかになり、各国・地域ごとの今後の対応策も少しずつ見えてきた。日本は経済危機により、一部の例外的自治体は別にして、大多数の地方自治体では法務研修、法務尊重意識(法令遵守意識)の後退が著しい現状が浮き彫りになった。悉皆的調査は、総務省関連団体などにより行われているため、重複を避け、本研究チームは定性的動向の研究に軸足を移し、他方で、法治行政の推進を上から邁進する中国を中心とした実証研究に努め、アジアの国・地域が総体的に法治国家化に努力をし続けている実態を解明した。これには、中国人民大学や中国司法部(法務省)幹部の協力を得た。 ドイツでは、経済状態が悪化している現状においても、法に基づく行政の重要性を強く意識し、公務員の養成・研修制度において一貫して法的素養を強化することに努めている実態を基調講演、現地ヒアリング、資料収集を通じて確認した。日本においては、主に財政的事情から、公務員の資質向上を求める意識は自治体幹部においても強くはなく、問題が生じたときに一罰百戒あるいは組織所属員全体に対する法的責任分析のない懲戒処分などが行われる。問題は、単に法務教育の重要性を語り、理想的なカリキュラムを提示することでは解決しない段階に至っている。
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Research Products
(15 results)