2006 Fiscal Year Annual Research Report
管理会計システムと企業組織の共進化に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
18203027
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
廣本 敏郎 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (00143719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾畑 裕 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (20194623)
挽 文子 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (00251728)
河田 信 名城大学, 大学院経営学研究科, 教授 (00319310)
西村 優子 青山学院大学, 経営学部, 教授 (10099228)
鳥居 宏史 明治学院大学, 経済学部, 教授 (30139472)
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Keywords | 会計学 / 経営学 / 管理会計システム / 企業組織 / 進化 |
Research Abstract |
各研究メンバーが研究成果を公表した他に、本研究メンバーで構成する日本会計研究学会特別委員会として、『企業組織と管理会計の研究-中間報告書-』(2006年9月、本文269頁)を刊行した。 研究内容の概要は、以下の通りである。まず理論的研究に関して、本研究のキーワードである「市場と組織の相互浸透」「自律的組織」「進化論的研究」などに関して研究を行い、さまざまな知見を得た。一例を挙げれば、市場でも組織でも分業が行われるが、市場では伸縮的分業、組織では固定的分業が行われる。換言すれば、市場ではバリューチェーンの組替えがダイナミックに行われるのに対して、組織では事前に計画されたバリューチェーンを所与として事業運営が行われる。また、自律的組織は、組織内に単に自律的組織単位がある、意思決定を行う単位があるというだけでなく、それらが相互に作用しながら自己組織化し、組織全体に影響を及ぼすという点が重要である。進化論的アプローチの意義は、事前合理性と事後合理性が必ずしも一致しないという現実に着目して、管理会計技法の形式的構造とその技法が組織に及ぼす影響の両方を捉えることによって、管理会計現象の多様性を理解できる点にある。 実証的研究では、トヨタ自動車、京セラ、花王、松下電器産業などの企業組織、管理会計システム、経営哲学などを詳しく研究した。その中で、花王と京セラを対比すると、いずれも自律的組織であるが、花王は米国生まれの管理会計を自社に取り込み社内に根付かせる努力の中で、その経営システムを進化させてきたのに対して、京セラは独自に組織と管理会計システムを開発し全社に普及させる努力の中で、その経営システムを進化させてきた。両社の管理会計システムが果たしている役割、機能には共通性があるが、進化の過程が異なるため、その現在の形態は大きく異なる。
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Research Products
(19 results)