2007 Fiscal Year Annual Research Report
管理会計システムと企業組織の共進化に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
18203027
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
廣本 敏郎 Hitotsubashi University, 大学院・商学研究科, 教授 (00143719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾畑 裕 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (20194623)
挽 文子 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (00251728)
河田 信 名城大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (00319310)
西村 優子 青山学院大学, 経営学部, 教授 (10099228)
横田 絵理 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (20277700)
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Keywords | 官僚制階層組織 / 自律的組織 / 企業間組織 / ミクロ・マクロ・ループ / 進化 |
Research Abstract |
各研究分担者による研究成果の刊行に加えて、本研究プロジェクトの代表者と分担者で構成する日本会計研究学会特別委員会(委員長:廣本敏郎)が、『企業組織と管理会計の研究-最終報告書-』(2007年9月、本文509頁)を日本会計研究学会全国大会で発表した。研究内容の概要は以下のとおりである。 管理会計は単に目的だけでそのあり方が決まるのでなく、企業環境、経営哲学(理念)、戦略、組織構造など、当該企業に係る組織コンテクストに依存する。本研究は、管理会計研究における伝統的な相対的真実原価アプローチに基づく技術論的研究ではなく、組織コンテクストを重視する存在論的研究を行っている。 米国で生成・発展してきた伝統的管理会計は、市場から組織へという文脈の中で誕生し、組織を効率的に運営することを目的としてきた。アメリカ企業は、大量生産・大量販売を有効かつ効率的に行うための組織の運営に適した管理会計システムを形成した。そこでは、組織構成員は詳細なルール・手続、標準化された作業、総合予算に従って行動するという前提でミクロ・マクロ・ループが形成された。しかし、現代の企業は組織内部の効率性よりも環境変化に対する柔軟性を重視し、エンパワメントを強調する。日本企業には現場の自発性と微調整的適応行動を許容する柔構造が見られるが、その本質は組織間の緩やかな連結(ルース・カップリング)である。ルース・カップリング型組織では、各組織単位ないし経済主体のそれぞれが自律性をもちながらも、密接な相互依存関係にある。 組織コンテクストを重視する本研究では、管理会計を単に技法として捉えるのでなく、その機能ないし利用面にも注目している。企業組織と管理会計のいずれにも構造とプロセスないし機能の両面があるが、それらの間の相互作用がミクロ・マクロ・ループの形成に大きく関わっている。
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Research Products
(28 results)