2006 Fiscal Year Annual Research Report
TC4と連携したゾンデ観測とモデリングによる熱帯対流圏界層内脱水過程の解明
Project/Area Number |
18204041
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷部 文雄 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 教授 (00261735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 雅人 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (50192604)
藤原 正智 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 助教授 (00360941)
西 憲敬 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (00222183)
柴田 隆 名古屋大学, 大学院環境学研究科, 教授 (70167443)
岩崎 俊樹 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (80302074)
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Keywords | 気象学 / 地球観測 / 大気大循環 / 熱帯 / 脱水過程 / ゾンデ観測 / モデリング / 対流圏界層 |
Research Abstract |
熱帯対流圏界層(TTL)内脱水過程を解明し、熱帯成層圏水蒸気の長期トレンドを高精度ゾンデ観測により検出するために、TTL水蒸気量と水平移流に伴う大気の温度履歴との対応を、同一大気塊の複数回観測(match観測)により明らかにすることが本課題の特徴である。初期の観測に基づく解析によれば、ゾンデ観測された水蒸気混合比と移流する大気塊の経験する最小飽和水蒸気混合比との間に明瞭な対応が認められたが、平均的に前者は後者の約2倍の水蒸気を含んでいるという結果が得られている(Hasebe et al., 2007)。その原因としては、過飽和による水蒸気保持・凝結した水蒸気の再蒸発・別の大気塊との混合など、様々な過程が考えられる。この問題を解明するために実施されたライダーと冷媒型霜点湿度計(CFH)との同時観測によれば、巻雲の観測された高度で数十%の過飽和が観測されており(Shibata et al., 2007)、今後の観測の積み上げにより脱水効率の評価につながる成果が得られると期待される。Matchによる脱水の定量化については、観測誤差の精密評価が重要であるため、その手法の確立を目指して研究を進めている。なお、本年度に計画されていた米国の航空機観測計画(TC4)は予算削減に伴って中米に場を代えて実施されたため予定していた同時観測は実現しなかったが、昨年度の集中観測で比較的多数のmatch対が得られたこと、今年度の集中観測ではCFHにより下部成層圏まで精度よい水蒸気分布が得られたことにより、研究の進展には支障がない。また、我々の観測データは人工衛星データの検証においても大いに貢献している(Voemel et al., 2007投稿中)。これらの成果を発表し諸外国の研究グループと意見交換する場として、7月に北海道で国際研究集会を開催した。7ヵ国35名の参加を得て当初の目的を達成することができた。大規模な国際学会の開催される次年度は、より大きなコミュニティーに向けて研究成果を発表してゆく予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] In situ observations of dehydrated air parcels advected horizontally in the Tropical Tropopause Layer of the western Pacific2007
Author(s)
Hasebe, F., M.Fujiwara, N.Nishi, M.Shiotani, H.Voemel, S.Oltmans, H.Takashima, S.Saraspriya, N.Komala, Y.Inai
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Journal Title
Atmospheric Chemistry and Physics 7
Pages: 803-813
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