2006 Fiscal Year Annual Research Report
北極振動の成因解明と長周期変動の力学プロセスの研究
Project/Area Number |
18204043
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田中 博 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70236628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 孝治 北海道大学, 地球環境科学研究科, 教授 (70270791)
伊藤 久徳 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (80112100)
森 厚 東京学芸大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (20272627)
向川 均 京都大学, 防災研究所, 助教授 (20261349)
山根 省三 千葉科学大学, 危機管理学部環境安全システム学科, 講師 (10373466)
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Keywords | 北極振動 / 異常気象 / 地球温暖化 / 平成18年豪雪 / AO / GCCA-7 / 北極振動特集号 / 北極域の科学 |
Research Abstract |
北極振動(Arctic Oscillation : AO)とは1998年に米国ワシントン大学のThompsonとWallaceにより提唱された概念で、北極圏とそれを取り巻く中緯度帯の間に見られる気圧場の南北振動のことである。近年の異常気象や地球温暖化の研究において、この北極振動が特に注目されている。2001年の寒冬や2002年の暖冬(桜の早期開花)、2003年の冷夏、2005年の平成18年豪雪、そして2006年の異常暖冬などは、北極振動が主要な原因であるとされており、低緯度のENSOと並んで重要な高緯度の大気現象とされている。これまで異常気象といえば低緯度のエルニーニョ・南方振動(ENSO)との関係に研究の重点がおかれていたが、エルニーニョが熱帯の海洋変動の最大卓越モードとして重要視されるように、北半球中高緯度における大気変動の最大卓越モードは北極振動であり、その物理的メカニズムや力学的成因を解明することは、気候変動や異常気象の研究およびその予測において重要な研究課題である。初年度の平成18年度には、第1回北極振動研究集会を2006年7月8-9日に筑波大学で開催し、約30名の参加者を集めて最新の情報提供や活発な議論が行われた。主なテーマは(1)北極振動の最前線、(2)異常気象と地球温暖化との関係、(3)観測事実と理論的研究、(4)今後の研究の新展開、とした。研究代表者は2007年2月19-20日にアラスカ大学で開催された第7回極域気候変動に関する国際会議(GCCA-7)に主催者のひとりとして参加し、北極振動研究に関するレビュー講演を行った。2007年3月2-3日には筑波大学で第2回北極振動研究会を開催し、約40名の参加者を集めて、今年度の研究成果報告と次年度の研究計画について議論した。そして、日本気象学会の査読付き国際学術誌である気象集誌に、北極振動研究の成果を集めた「北極振動特集号」の発刊を企画し、2007年度地球惑星科学連合大会で「北極域の科学」ユニオンセッションを企画して、研究成果報告を行うことを決めた。
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Research Products
(44 results)