2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規イオニクスデバイスの開発に向けた基礎研究-電気化学界面制御と物質開拓
Project/Area Number |
18205024
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅野 了次 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (90135426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園山 範之 名古屋工業大学, 大学院・工学部, 准教授 (50272696)
米村 雅雄 茨城大学, 理工学研究科, 助教 (60400602)
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Keywords | 固体イオニクス / 固体電池 / 電気化学界面 / 薄膜電池 / 固体電解質 |
Research Abstract |
エピタキシャルヘテロ接合界面を利用した新たなイオニクスデバイスの創出を目指し、その基礎となる界面制御、評価手法を開拓してきた。本年度は電気化学反応場における電極構造を表面がらバルク領域まで連続的にその場観察するために、深さ分解XRD、XAFS法を電池電極界面に適用した。測定は大型放射光施設SPring-8で行った。その結果、電池電極表面は内部と異なり、反応中に劇的に結晶構造、電子構造が変化することを初めて明らかにした。TEM観察、電気化学特性評価の結果と合わせて考察することで、電極最表面構造が電池反応の全体の可逆性や速度を決定する鍵のひとつであることが分かった。さらに、in situ中性子反射率法を用いて、電池反応中におけるリチウムイオン拡散の直接観察を行い、反応中に電極界面でのリチウム濃度が可逆的に変化していることを見出した。これらの結果より、ブラックボックスになっていた実用電気化学界面の素過程を解明できる可能性を拓くものである。この成果は今後、反応機構に基づいた界面構造の最適化によるデバイス特性の飛躍的な向上が期待でき、固固界面を積層することにより、新規イオニクスデバイス開発の道が拓けた。一方、既存デバイスのなかで究極の安全性を有する全固体電池の実用化を目指し、容量は高いが電気伝導性、耐久性に難のあった硫黄正極を気相法でアセチレンブラック上に作製することで、正極界面での接合性を向上させ理論容量動作を初めて実現した。これにより、全固体電池用電極材料の選択の幅を広げ、さらなる高機能化への道筋を示した。結晶構造に関しては、合成条件の検討によりいくつかの多形材料の合成に成功し、低温相の構造解析に成功した。これらの結晶構造とリチウムイオンの導電機構との相関を明らかにし、高イオン導電性を示す材料設計指針を見出す基盤を築いた。
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Research Products
(39 results)