Research Abstract |
自律分散型電気エネルギー流通監視システムを構築することを目的として,本年度は,(1)GPS時刻同期型位相計測装置(PMU)を用いた分散型電力系統動特性監視システムを購築する,(2)日本国内における自律監視システムの購築と東南アジア諸国でのシステム展開を図る,(3)解析結果を用いた系統安定化制御を構築する,(4)系統擾乱などイベント発生をトリガにした詳細な系統解析システムを構築する,(5)データサーバを構築し,データ管理,解析可視化,分析支援を行う,(6)電力品質(周波数)の監視を行う,(7)需要家側の電力流通状態の監視を行う,の各項目を検討した。 (1),(2)は,国内に計12箇所,東南アジア諸国に計4箇所の計測器設置を完了し,データ収集解析システムを構築した。(3)は,小規模システムを対象に,電圧位相情報に加えて新たに電圧情報を利用することで,発電機磁束に関する状態の不安定化を防止し,支配動揺モードを安定化する方法を検討した。(4)は,周波数変化による事故検出法として,周波数変動データに標準偏差を用いる手法を提案し,実測データにおいて精度を検証した。また,位相差,周波数変動の振る舞いから,外乱の種別,発生地点の特定などに関する解析法を提案した。(5)は,膨大なデータから電力系統における各種データ解析に有用なデータを抽出する手法について検討した。また,その成果に基づき,電圧フェーザ量情報提供システムの基本コンセプトを提唱し,プロトタイプを構築した。(6)は,周波数偏差一地点間位相差の平面上に計測結果を単純にプロットした場合,その分布に負荷変動への依存性が見られること,また,地点間の電気的距離によって分布の様子が大きく異なることを確かめることができた。(7)は,多地点コンセント電圧計測による建物内の電力潮流計測手法を確立し,建物内の電力を詳細に計測できるようになった。
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