2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18208009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 昌 京都大学, 農学研究科, 教授 (70093250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 道彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90252494)
小川 順 京都大学, 農学研究科, 助手 (70281102)
櫻谷 英治 京都大学, 農学研究科, 助手 (10362427)
萩下 大郎 京都大学, 農学研究科, 助教授 (20432346)
岸野 重信 京都大学, 農学研究科, 助手 (40432348)
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Keywords | アラキドン酸 / 高度不飽和脂肪酸 / 宿主ベクター系 / モルティエレラ / 糸状菌 / ヒドロキシ脂肪酸 / 共役リノール酸 / 乳酸菌 |
Research Abstract |
本年度は、共役リノール酸と高度不飽和脂肪酸(PUFA)生産の効率化をめざした研究を行った。 1.共役リノール酸生産の効率化をめざし、乳酸菌における共役脂肪酸生産酵素系の解析を行った。Lactobacillus plantarum AKU1009aはリノール酸を水和し、10-hydroxy-12-octadecenoic acid(HY)を生成した後、HYを脱水異性化することで共役リノール酸を生成する。L.plantarum AKU1009aより得たcell-free extractを超遠心し、膜画分と可溶性画分とに分画した結果、一連の変換反応に必要な蛋白質が両画分に分散していることを明らかにした。さらに、これらの蛋白質の精製を試みた結果、膜画分に一つ、可溶性画分に二つ、本反応に関与する蛋白質が存在することを明らかにした。 2.アラキドン酸(AA)の工業生産糸状菌であるMortierella alpina 1S-4の分子育種によりPUFAの組成を大きく変えることに成功した。具体的には、RNAi法により、M.alpina 1S-4の脂肪酸鎖長延長酵素(MAELO)遺伝子の発現抑制を行ったところ、炭素鎖長22以上の飽和脂肪酸が検出されなかったことから、本酵素遺伝子は主に超長鎖飽和脂肪酸の生合成に関与していることが示唆された。グルコースを炭素源とした培地で培養すると、MAELO-RNAi形質転換株では超長鎖飽和脂肪酸が培養14日目でも検出されないことから、MAELO遺伝子発現抑制により超長鎖脂肪酸を含まないAA生産を示すことができた。また、AAをエイコサペンタエン酸(EPA)に変換するω3脂肪酸不飽和化酵素遺伝子を本菌株で過剰発現させ、EPAの生産量を4倍増加させることに成功した。このようにある特定の遺伝子の過剰発現により、PUFAの生産性を向上できることを示した。さらに、アグロバクテリウムを用いた形質転換系を開発した。胞子8x10^8個から約700株の形質転換体を得ることに成功した。またそのうち16株中15株においてゲノム上に1コピーの挿入が確認でき、継体培養を繰り返しても安定してその形質が保持されることが明らかになった。よりマイルドな条件での形質転換が可能となり、宿主に応じた形質転換法の選択が可能となった。
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Research Products
(4 results)