2008 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子NF-kB制御による安全な肝臓移植法の開発
Project/Area Number |
18209041
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤堂 省 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任教授 (80256510)
|
Keywords | 臓器移植 / 肝移植 / 拒絶反応 / NF kappa B / 虚血再灌流 / 臓器保存 |
Research Abstract |
肝移植における新たな冷保存・再灌流傷害の軽減法と免疫抑制法を開発する目的で、小動物でRF-kB活性化阻害剤(D-MEQ)の効果を検討した。本薬剤の難溶性、不安定性に関しても、その解決対して並行して行った。D-MEQに関しては、1)静注製剤の開発、2)各種移植モデルにおける免疫抑制効果、3)虚血再灌流傷害軽減効果、を本年度の検討課題とした。さらに、4)新規臓器保存液の開発に着手し、肝冷保存再灌流傷害軽減のための検討を多角的に進めた。 1) D-MEQをカリウム塩化、包接化あるいはリポゾーム化し、その有効性、安定性検討した。リポゾーム製剤は2週間にわたって活性を安定的に維持し、またMLRにてもD-MEQオリジナルと同様のリンパ球増殖抑制効果を示した。 2) リボソーム化D-MEQの静脈内投与により、マウス・アロ心移植でグラフト生着期間が延長された。また、マウスへの膵島細胞移植(allo, xeno)において、D-MEQはカルシニューリン阻害との併用により、強い免疫抑制効果が得られた。 3) ラットのin vivo小腸虚血再灌流に伴う小腸、肺の傷害を軽減し、生存率を向上させた。肝細胞、マクロファージ、血管内皮における低酸素(酸化)障害を軽減し、肝虚血再灌流傷害を軽減することが示唆された。 4) 細胞内Ca2+overloadの阻害、エネルギー代謝の維持、細胞骨格の安定化を主作用とする物質をもちいることにより新規臓器保存液を作成した。In vitroでは肝細胞をはじめ心筋、小腸上皮、気管上皮で冷保存再酸素化傷害を軽減し、in vivoではラット24-36時間心冷保存・移植モデルのグラフト生存、機能を改善した。また、ラット肝冷保存、単離灌流モデルでも再灌流傷害を軽減した。D-MEQとの併用により、さらに研究開発を進める予定である。 今後、NF-kBの阻害およびDOを併用することにより、これまでにない新たな理論による保存液を開発していく。
|