Research Abstract |
最終年度として,20年度の成果をうけて,ドンデーン村(東北タイ)とドンクワーイ村(ラオス)での調査を各人が以下のようなサブテーマで継続し,日本地理学会,人文地理学会,システム農学会,日本藻類学会,日本災害情報学会などで発表するとともに専門誌や一般書で成果を発表した。また,この共同研究で培ったフィールドでの分析手法の応用を,各分担者がさまざまな学会や一般での講演会,学校現辺への出前講義などで試み,学際的な交流と有効性のアピールを行った。 1.資源利用活動の時空間分析(岡本,西村),2.資源利用の時空間的分析ならびに流通分析(野中,池口,鰺坂),3.農業生産性要因分析(宮川,星川,竹中),4.生業の社会経済分析(舟橋,岡本,野間),5.生業活動の史的分析(野間,加藤,野中,宮川),6.天水田農村の自然環境解析(小野,星川,竹中) 各班の結果の連関と調整は,研究代表の野間が中心となり,2011年度中にこれまでの総合地球環境学研究所のプロジェクト(代表 野中健一),科学研究費での天水田プロジェクト(代表 宮川修一)と合同で日本地理学会でのシンポジウムを行う。そのあとで最終報告書にあたる学術書の出版を考えている。両地域の比較からみえてくる経済発展,インフラ整備,商品化の差違による複合的資源利用の変化の道筋とタイムラグは4年間の調査でほぼ措定できた。ラオス農村で現在も盛んにみられる多様な資源利用がしだいに単色化,単純化していく前兆は,外部環境の変化(グローバル化,モータリゼーションの発達)ですぐ目前まで迫っている。今回の共同研究はその変化の動的状況を学際的に記録できたのは貴重な遺産となろう。最終年度にあたるため,お世話になった村のために,3月の閉村式では,成果をビジュアルに見せるための展示や,ドンクワーイ村全戸への小冊子を配布して,豊かな資源への再評価・喚起を行った。
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