2009 Fiscal Year Annual Research Report
トランスナショナリズムと「ストリート」現象の人類学的研究
Project/Area Number |
18251015
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
関根 康正 Japan Women's University, 人間社会学部, 教授 (40108197)
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Keywords | 文化人類学 / 民族学 / 文化研究 / トランスナショナリズム / ストリート化 |
Research Abstract |
最終年度として7名が調査の仕上げと今後への展開を意識して調査を実施し、一層深みのある成果をあげた。野村はイタリアの精神病院の地域への開放に注目し、それを閉鎖ホームからのストリート化であり、患者中心の新たなコミュニティ構築であるとみる。植村はパリのマグレブ系移民地区での戦術的な生活実践に、異質な文化の共在をリベラルな社会の証明として活用する上からの政治との対抗的かつ補完的な関係を見出す。関根はロンドンの南アジア系移民地区で、衣食、音楽、映画、儀礼宗教などを通じて、まずは(1)南アジア系レベルと(2)よりローカルなレベル(グジャラート、タミルなど)の二重のアイデンティティの併存と、さらに英国人としてのアイデンティティも若い現世代では浸透し、複雑な屈折状況を作り出すと同時に、それが広い分野でトランスナショナルな創造力を発揮してことを見出す。また関根は、こうした従来の移民に加えて、特にEU加盟国の拡大以降、西欧への東欧からの移民増大の現実は、流入するネオリベー色の西欧都市と流出させる東欧のポスト社会主義の都市・村落の双方の景観を急激に変貌させていることを東欧諸都市の観察から示し、ヨーロッパが全域的にストリート化しているとする。朝日はカンボジアで、在来絹織物業の市場経済化以降の分業化の深化の在り方から、今日の農村社会の流動化を一種のストリート化現象として把握した。森田はインドネシアで、今日のローカルな場での「貧困」を、匿名的で大規模な、トランスナショナルな政治経済的ネットワークとの関係において生じる、ストリートの未確定な現象としてとらえる。関口もまた、アイヌの表象をめぐって、現在のナショナルやグローバルの政治力学とローカルな現実の間で引き裂かれる未確定領域を探求する。特筆すべきは、パリの移民社会空間を研究してきた人類学者M.ザルツブルンを招請し、総括的な研究集会を催し、国際共同研究の道を拓いた。
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Research Products
(56 results)
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[Presentation] The Aim of the Symposium2009
Author(s)
棚橋訓
Organizer
Tuvalu on the Front Line of Coral Reef-Human Symbiosis Studies : A Dialogue between Analysis and Interpretation.
Place of Presentation
Keio University Mita Campus, Tokyo, Japan
Year and Date
2009-07-25
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