2008 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化と開発途上国のガバナンス構築-アンデス諸国の比較研究-
Project/Area Number |
18252005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 勇介 Kyoto University, 地域研究統合情報センター, 准教授 (70290921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狐崎 知己 専修大学, 経済学部, 教授 (70234747)
遅野井 茂雄 筑波大学, 人文社会科学研究科, 教授 (60257441)
安原 毅 南山大学, 外国語学部, 教授 (70247667)
柳原 透 拓殖大学, 国際開発学部, 教授 (00230269)
重冨 恵子 都留文科大学, 文学部, 専任講師 (60405074)
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Keywords | 国際研究者交流 / 民主主義 / 新自由主義 / ガバナンス / 多文化共生 / 国家 / アンデス諸国 / 構造的問題 |
Research Abstract |
1970年代後半から、アンデス諸国(ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、ベネズエラ)では、他のラテンアメリカ諸国と同様、グローバル化の一環でもある「民主化」と市場経済化が進んだ(軍政から民政へ移管した「民主化」はボリビア、エクアドル、ペルーのみ該当)。それは、マクロ経済面での安定と発展や地域統合の促進、民主的な政治の枠組の維持、それまで政治参加を認められなかったあるいはしなかった人々による新たな政治勢力の台頭、文化的多元性の承認などをもたらした。だが他方では、貧困、失業や低賃金に加え、民族(先住民、混血など)、階層、地域といった側面において厳然と存在する格差など、19世紀初頭の植民地からの独立以来、アンデス諸国を含むラテンアメリカが抱えてきた構造的問題を悪化させ改めて浮き彫りにした。そこでは、多文化共生やグローバル化といった新たな世界的潮流に曝される中、常に問われてきた国家建設、国民形成の課題が、今さらのように提起されている。また、伝統的に脆弱な国家の機能が向上しないか低下し、政党や組合、政治・社会運動など中間媒介組織の変容と再編が生じるとともに、麻薬問題や汚職の蔓延、犯罪なども助長されて、社会的紐帯の弛緩と社会紛争の激化が起こり、1990年代以降、代表制民主主義の枠組みが揺らいでいる。政治が流動化し、民主的なガバナビリティの構築が重要な課題として浮上しているのである。さらに、構造的な問題を含む社会経済面での悪化は、新自由主義路線の見直しを迫る事態を招き、それを支持する勢力が多数派となるポスト新自由主義の時代が既に始まっている。(本研究の成果の一部は明石書店より『現代アンデス諸国の政治変動』と題して出版された。)
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Research Products
(5 results)