2009 Fiscal Year Annual Research Report
巨大積乱雲ヘクター理解のためのダーウィン総合観測網の構築
Project/Area Number |
18253004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河崎 善一郎 Osaka University, 工学研究科, 教授 (60126852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛尾 知雄 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50332961)
森本 健志 大阪大学, 工学研究科, 講師 (60403169)
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Keywords | 自然現象観測 / 気象学 / 大気電気学 / 観測ネットワーク / モデリング / 雷放電 / 国際情報交換 / オーストラリア |
Research Abstract |
本年度も、11月および12月の約2ヶ月間、オーストラリア・ダーウィン地域において雷放電と巨大積乱雲ヘクターの観測を行なった。観測機は、昨年度までのVHF広帯域干渉計による稠密観測網に加えて、LF帯の電磁波に広帯域干渉法を用いた、広域観測網を追加し、積乱雲のライフサイクルと雷活動の関係を活動全体で捕らえると共に、稠密観測網のエリア内ではより詳細に記録する体制を整えた。ここで、本観測網を構成するセンサは全て炎天下や豪雨下でも観測期間中継続して自動観測可能なシステムとして実現しており、その一部は太陽光発電やバッテリを用いた設置場所を選ばない、単独運転可能なものとなっていることを付記する。 これら、大阪大学グループによる雷放電観測データと、オーストラリア気象局による気象レーダを初めとする気象データ観測結果を統合し解析を行なった。雷放電開始位置と、その領域に存在する降水粒子の分布が時々刻々得られ、正負両極性の電荷が蓄積される領域の境界付近に放電開始点が多く分布し、更に稠密観測からその放電路が境界に沿うように進展しやがて落雷に至る様子が再現された。これらの観測結果を用いた、雷放電による中和電荷量の推定も行い、積乱雲のライフステージに応じた放電形態、中和電荷量の変化について考察している。この結果、積乱雲が世界で他に例を見ないほど高くまで成長する巨大積乱雲ヘクターにおいて、ヘクターの成長と共に中和される電荷の位置も上昇する現象が確認された。 本研究において構築した観測網は、実用雷嵐観測網として十分な機能を備え、その観測結果は関連分野への大きな成果をもたらすものであることが実証できたと考えている。
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Research Products
(12 results)