2007 Fiscal Year Annual Research Report
快い匂い情報が感性の脳活動に及ぼす本能的影響とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
18300071
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
久野 節二 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (70136216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 敏正 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00261793)
野上 晴雄 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (30119838)
首藤 文洋 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10326837)
大島 直樹 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 講師 (50375466)
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Keywords | 匂い情報 / 脳(前頭葉)活動 / 神経生理指標 / 光トポグラフィ計測 / 嗅覚 / 本能 |
Research Abstract |
ヒト前頭葉活動に関する光トボグラフィ解析において、匂い提示に使用する装置を開発した。この装置の開発により、水溶性の匂い物質の濃度調節が可能になった。本年度は匂い刺激として、前年度興奮性作用が示唆されたヒノキに加え、日本古来の匂いとしてユズと緑茶の香りを用いて実験した。ヒノキについては、匂い提示後、10秒間の積算平均値において左前頭部が、さらに45秒間の積算平均値では左右の前頭部において酸素化ヘモグロビン血流量が減少することが示された。この結果は前年度のデータから示唆された興奮性作用と基本的に異なる結果である。この違いは、取得した測定データに含まれるノイズ処理法によるものと考えられる。今年度のデータ解析ではノイズと思われる高周波成分と低周波成分の両者をフィルタリングにより除去した結果、検出されたものであり、前年度の結果より正確なデータと思われる。ユズと緑茶については、明確な生理効果は観察されなかった。以上のことから、ヒノキの匂いが嗅覚中枢と考えられる眼窩皮質で処理され、刺激受容の初期に脳活動を沈静化する可能性が示唆される。一方、動物実験では、拘束ストレスに及ぼすヒノキの抑制効果の再現性は得られなかった。しかし、まだ実験例数が少ないため今後さらに追試する必要がある。ヒトと異なり、ユズの香りがストレスホルモン(コルチコステロン)の上昇を抑える傾向が認められた。今後は、ユズの脳内作用部位をFos発現を指標に形態学的に検証する必要がある。
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Research Products
(3 results)