2006 Fiscal Year Annual Research Report
力学系における時空間パターンによるアトラクター間遷移とその機能
Project/Area Number |
18300079
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青柳 富誌生 京都大学, 情報学研究科, 講師 (90252486)
|
Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 情報工学 / 数理モデル / 同期 / 力学系 / アトラクター / ベイズ統計 |
Research Abstract |
本研究では、ネットワーク構造をもった力学系が相互作用によりダイナミックな振る舞いを示す状況を考え、特定の時空間パターン(まずは同期現象)によるアトラクター問遷移という現象に着目して、その機能的役割も含め力学的な観点から何らかの情報処理や機能発現の原理を探ろうというのが目的である。その際に、神経ネットワークの事例は、大変参考となる。機能単位はニューロンであり、単体でもバースト発火など多様な振る舞いを示す。またネットワークを形成して単体では成し得ない高度な情報処理を行っている点や、その結合が状況に依存してダイナミックに変化し、未知の環境に適用・学習する点は大変興味深い。そこで神経系で得られた理論的知見を基にすることで、より一般的な力学系において事前に見通しの良い研究を効率的に進めることが可能になる。具体的には次の観点で研究を進めた。(1)ネットワーク構造を力学系の状態に依存して変化する数理モデルこれは、力学的観点から見ると、通号の非同期的入力時は学習により形成されたアトラクターが幾つか存在し、同期入力により、学習時に経験したアトラクターの経験した順序関係に対応するパスが活性化し、パターン間の遷移が起こる現象を利用したものである。この力学的観点を基軸に、より一般的なリミットサイクル解を持つネットワークに関して、結合の更新ルールを変えて理論的検証を行った。本研究では、大規模数値計算だけでなく、理論解析にも重点を置いて研究をしている。理論解析には、複雑な非線形ネットワークのダイナミクスを弱非線形解析の理論を用いてより簡単で解析可能な力学系に簡略化する縮約理論(位相振動子解析など)を用いることで、同期などの時空間構造が重要である系のネットワークの性質を理論的に解析した。その結果、学習ルールから形成されるネットワーク構造と、結果として存在するアトラクターに大別して2通りのケースが存在し、それぞれの特徴に関して更に解析を進め、機能として如何なる事が実現可能か理論的な予備的検証を行った。
|
Research Products
(3 results)