2006 Fiscal Year Annual Research Report
高次元小標本におけるデータ解析の数理統計学的基礎とその応用
Project/Area Number |
18300092
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青嶋 誠 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (90246679)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤平 昌文 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (70017424)
小池 健一 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (90260471)
大谷内 奈穂 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助手 (40375374)
南 就将 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (10183964)
田崎 博之 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (30179684)
|
Keywords | 標本数決定 / 領域推定 / 共分散構造 / 漸近理論 / ベイズ法 / ランダム行列 / 逐次区間推定 / 情報不等式 |
Research Abstract |
本年度は、本研究課題の開始年度にあたり、次のように基礎研究を実施した。 1.高次元小標本の幾何学的解釈と、標本数決定を伴う高次元漸近理論の構築。 まず、標本数決定の具体的な問題として、青嶋がAoshima and Takada (2006)で、平均ベクトルの領域推定問題を提示し、これについて共分散構造分析を利用した標本数の算出と推測の漸近的手法を提案して、それが半径と信頼係数について予め定められた精度を保証することを示した。漸近理論の構築には、赤平がAkahira, Shimizu and Takeuchi (2007)で、制約のある母数の信頼区間の構成に、ベイズ法と頻度主義法を組合せた方法を提案し、それが従来の信頼区間より有効になることを示した。また、南はMinami (2007)で、不規則系の物理・ランダム行列理論・量子カオス等において問題とされるエネルギー準位統計の基礎概念を、直線上の定常点過程を応用して捉え直して、ランダム性を持たない点列を擬似的に定常点過程のサンプルと見なすことの可能性を論じた。 一方、幾何学的解釈については、構造の理解に必要な基礎理論として、田崎がTasaki(2006)で、Riemann対称空間内の鏡映部分多様体の集まりが対称空間の構造を持つことを示して、それを利用してCroftonの公式を定式化した。 2.高次元空間に内在する母数の区間推定と情報量規準。 小池はKoike (2007)で、非正則な位置尺度母数分布族に対して、位置母数の逐次区間推定方式を提唱し、その方式が漸近一致性などの優れた性質をもつことを示し、Chow-Robbins型の逐次推定方式と比較した。また、赤平と大谷内はAkahira and Ohyauchi (2007)で、分布が非正則な場合の情報不等式を考え、母数空間上に任意の1点を固定して、その点での不偏性等の条件を満たす推定量の分散について、Chapman-Robbins型の情報不等式を含むベイズ型情報不等式を導出した。
|