2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムインプリンテングが関与する脳神経系達の制御機構
Project/Area Number |
18300122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 和明 Osaka University, 蛋白質研究所, 教授 (30094452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 伊三男 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (70362621)
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Keywords | Necdin / ゲノムインプリンティング / 大脳皮質 / 海馬 / ニューロン / 接線方向移動 / 軸索伸長 / プラダー・ウィリー症候群 |
Research Abstract |
ゲノムインプリンティングによって発現が制御されているNecdinの大脳皮質介在ニューロン移動と海馬錐体ニューロン軸索伸長における役割を父性necdin遺伝子変異(Ndn^<+m/-P>)マウスを用いて検討し、以下の結果を得た。 1.大脳基底核原基(GE)由来ニューロンの移動に及ぼすNecdinの影響。GEから生じたニューロンは接線方向に移動を行い大脳皮質介在ニューロンになる。これらのニューロンの移動に及ぼすNecdinの影響を調べるため、介在ニューロンのマーカーであるホメオドメイン蛋白質Dlx2の大脳新皮質における分布を調べたところ、Ndn^<+m-P>マウスでは野生型に比べて大脳新皮質におけるDlx2陽性細胞数が有意に減少していた。また、Ndn^<+m/-P>マウスではGEで生じた時点でブロモデオキシウリジンで標識されて大脳新皮質に移動するDlx2ニューロン数も減少していた。したがって、内在性NecdinはGE由来の大脳皮質介在ニューロンの大脳新皮質への移動を促進することが示唆される。 2.神経軸索伸長に及ぼすNecdinの影響。Ndn^<+m/-P>から調製した海馬錐体ニューロンを低密度条件下で培養し、個々のニューロンの軸索の伸長度を経時的に観察した。Ndn^<+m/-P>由来のニューロンでは、培養開始後19時間までは、軸索の伸長が野生型に比べて有意に減少していた。また、この時期の軸索伸長は培養液中のインスリン様成長因子(IGF-1)に依存することが明らかになった。NecdinはIGF-1シグナルの維持を介して軸索伸長を促進するものと推定される。したがって、内在性NecdinはIGF-1シグナル伝達を増強することにより、ニューロンの軸索伸長に関与するものと推定される。これらの知見は、ゲノムインプリンティング疾患であるプラダーウィリー症候群の発症機構を明らかにする上で重要である。
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