2006 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス前性タンパク質のリン酸化によるシナプスおよび脳機能の制御機構の解明
Project/Area Number |
18300127
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 正身 北里大学, 医学部, 教授 (10318826)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 誠 北里大学, 医学部, 助手 (30398581)
東 貞宏 北里大学, 医学部, 助手 (80348507)
片岡 正和 信州大学, 工学部, 助教授 (90332676)
|
Keywords | SNAP-25 / 神経伝達物質 / 開口放出 / プロテインキナーゼC / タンパク質リン酸化 / ノックインマウス / 情動異常 / ストレス |
Research Abstract |
PKCによるリン酸化部位であるSer187をAlaに置換したSNAP-25変異マウスはさまざまな興味深い行動異常を示す。SNAP-25は自律神経終末や内分泌細胞にも発現し、さまざまな末梢機能の制御にも関わっている。本年度は摂食やエネルギー代謝の異常を中心に解析を行った。生後1年くらいのホモマウスは痩せており、平均体重は雄で野生の6割程度でしかなかった。野生型マウスの体重は生後15週位までに急激に増加した後もゆっくりと増加するが、変異マウスは生後の急激な体重増加が野生型より小さいのみならず、体重増加が15週付近で停止するという際だった特徴を示した。ホモ変異体では体脂肪の蓄積が極めて貧弱で、下腹部や卵巣や腎臓の周囲の内臓脂肪の発達が悪いことが明らかとなった。この様な内臓脂肪の蓄積が見られない原因を探るため、代謝ケージに入れて飼育を行ったところ摂食や飲水をほとんどしなくなってしまい、1週間以内に実験に用いた全個体が死亡した。この様な拒食傾向は通常の飼育ケージでも見られ、個別飼育した後のしばらくはケージ交換の様な些細な刺激で拒食に陥ることが分かった。ホモ変異体はしばしば自傷行為を行うほか、痙攣発作を起こすことも観察された。以上の結果は、SNAP-25変異マウスではストレス脆弱性が亢進しており、SNAP-25のリン酸化がHPA-axisの機能に重要な役割をはたしていることを唆している。ケージ交換に慣れた後には、ホモ変異体の平均の摂食量は野生型と差が無くなったが、飼育日数と共に体重差が大きくなっていった。以上のことから、ホモ変異体ではエネルギー代謝にも何らかの異常が生じていることが考えられた。
|