2008 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス前性タンパク質のリン酸化によるシナプスおよび脳機能の制御機構の解明
Project/Area Number |
18300127
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高橋 正身 Kitasato University, 医学部, 教授 (10318826)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 誠 北里大学, 医学部, 講師 (30398581)
東 貞宏 北里大学, 医学部, 助教 (80348507)
|
Keywords | SNAP-25 / 神経伝達物質 / 開口放出 / プロテインキナーゼC / タンパク質リン酸化 / ノックインマウス / ストレス / アドレナリン |
Research Abstract |
SNAP-25はシナプス膜に存在するt-SNAREタンパク質で、開口放出によるシナプス前部からの神経伝達物質遊離に必須な役割を果たしている。SNAP-25のSer^<187>がプロテインキナーゼCによってリン酸化されると、神経伝達物質放出機能が促進される。S187Aという1アミノ酸置換によってSNAP-25のリン酸化が起こらないノックインマウスを作成したところ、情動異常などの様々な異常が出現し、SNAP-25のリン酸化が脳内で重要な役割を果たしていることが明らかとなった。てんかん発作を起こすと脳内でSNAP-25のリン酸化が大きく変動することも明らかになっていたが、どのような生理的な機能に伴いSNAP-25のリン酸化が変化するかについては明らかではなかった。 今回、野生型マウスを冷水中で拘束ストレスを加えると脳内でSNAP-25のリン酸化が大きく亢進し、ストレスを除くと速やかに元のレベルまで脱リン酸化されることが明らかとなった。SNAP-25のリン酸化の度合には脳内で部域差があり、大脳皮質や海馬、扁桃体では高く小脳では低かった。さらにストレスを加えた際のリン酸化の亢進も同様の傾向を示した。これに対してプロテインキナーゼCの基質として知られているGAP-43やSNAP-23のリン酸化はストレスを加えてもほとんど変動しなかった。アドレナリンを腹腔内注入するとSNAP-25のリン酸化は大きく亢進した。以上のことから、SNAP-25のリン酸化はストレス時に副腎髄質から放出されるアドレナリン放出が脳にフィードバックされる機能を担っている可能性が明らかとなった。
|