2006 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群を予防する低グリセミック・インデックス食の分子基盤
Project/Area Number |
18300232
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
武田 英二 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00144973)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩範 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60314861)
新井 英一 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (60325256)
|
Keywords | パラチノース / シュクロース / オレイン酸 / リノール酸 / 糖毒性 / 脂肪毒性 / 脂肪組織炎症性反応 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
糖・脂質代謝に及ぼす糖質および脂質の組み合わせ効果について検討した。 主な糖質としてパラチノース(P)またはシュクロース(S)、脂質としてオレイン酸(O)またはリノール酸(L)高含有オイルを用い、その他の組成はインスローに準じて糖質・脂質の組み合わせのみを変えた4種類の餌(PO、PL、SO、SL)を調整し、Zucker fattyラットに8週間pair-feedingにて投与した。飼育開始から4週間後と終了時に採血を行い、体重及び血糖、IRI、血中脂質の経時的変化を検討した。さらに飼育終了時に開腹後摘出した臓器サンプルより、RNAを調整してreal-time PCRにて脂質代謝関連遺伝子の発現を検討するとともに脂肪細胞の組織学的評価を行った。投与後、内臓脂肪量はPO/PL群で有意に抑制された。血糖、インスリン、中性脂肪、総コレステロール値は、PO/PL群での低値を、SO/SL群での高値を認めた。肝臓での遺伝子発現では、糖新生系酵素(PEPCK、G6Pase)と脂質合成系転写因子(SREBP-1c、SREBP-2、LXRα)は、PO/PL群での低値を、SO/SL群での高値を示し、血液データを反映した発現パターンを示したが、Fatty acid synthase、HMG-CoA reductaseはPO/SO群で発現抑制およびPLISL群での発現増加を示し、脂肪酸による調節が示唆された。糖新生系・脂質合成系遺伝子群は、PO群では発現は抑制され、SL群では発現亢進が見られた。膵島面積はPO/PL群で小さく、SO/SL群で肥大化を認め、パラチノースの膵島肥大化抑制効果が示された。また、PL/SL群で観察されたβ細胞の機能障害は、PO/SO群では認められず、オレイン酸の保護作用が示唆された。さらにPL/SL群では脂肪組織へのマクロファージの浸潤と、これに付随したTNF-α産生能亢進が確認されたが、PO/SO群の脂肪組織ではこれらの炎症性反応は認められなかった。 パラチノースとオレイン酸の組み合わせは、食事誘導性の糖毒性と脂肪毒性を回避し、肥満の進展によって生じる代謝異常を総合的に改善することが示された。耐糖能異常を示す患者がインスローを摂取することは、良好な血糖コントロールおよび二次的な膵臓への負担の軽減に対して有効であることが示された。
|
Research Products
(7 results)