2007 Fiscal Year Annual Research Report
江戸初期と幕末維新期における銃砲技術の伝統と革新に関する総合的研究
Project/Area Number |
18300308
|
Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
宇田川 武久 National Museum of Japanese History, 研究部, 教授 (70104750)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 光正 国立歴史民俗博物館, 研究部, 教授 (10150020)
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 研究部, 准教授 (50205663)
三宅 宏司 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (70124782)
保谷 徹 東京大学, 史料編纂所, 教授 (60195518)
|
Keywords | 日本史 / 金属生産工学 / 文化財科学 / 再現実験 / 製作技法 / 銃砲 / 大砲 / オランダ |
Research Abstract |
幕末維新期の文献および実物資料の調査を重点的におこなった。本館が所蔵する幕末維新期の和洋ふくめた銃砲の種類、構造・国産・外国製の確認、製作地の確定など、また洋式銃の製作技術に関する文献「銃工便覧」や「小銃制式」の内容を検討した。2007年10月11日〜15日に北海道函館市立博物館や江差町の開陽丸の大砲類、函館の水天宮所蔵の大砲、さらに靖国神社遊就館、佐賀県の鍋嶋報郊会など国内資料の銃砲の調査を実施した。またヨーロッパに所在する和製銃砲調査のため2007年12月12日〜19日にオランダ・ベルギーの国立博物館、軍事博物館、王立武器博物館の所蔵品の調査を実施し、外国人研究者と銃砲に関する議論をおこなった。 幕末維新期における軍事技術の研究は、最近ようやく注目を浴びるようになってきたが、不明な部分が少なくない。和銃の製作技術は解明されつつあるが、幕末期の大小の洋式銃の製作技術については依然として不明である。館蔵史料に蘭書の「大砲鋳造法」を翻訳した「鉄熕鋳鑑図」(三巻)があり、さらに安政期の「銃工便覧」、慶応期と推測される「小銃制式」が見出され、内容の検討から洋式銃砲の製作技術を解明することができた。 国内に現存する洋式大砲、北海道函館の水天宮の大砲がオランダ製の軽砲であることが、オランダ人研究者の協力を得て明らかになった。またオランダ・ベルギーの博物館においては、日本でもその存在が稀な江戸初期の和製石火矢、砲身に「藤堂佐渡守」の陽刻のある仏狼機砲、幕末維新期の葵の金銀象嵌を散りばめた見事な井上流の腰指、さらに岸和田の鉄砲鍛冶の手になる幕末の和製管打三連式の和銃などを発見した。
|
Research Products
(5 results)