2008 Fiscal Year Annual Research Report
江戸初期と幕末維新期における銃砲技術の伝統と革新に関する総合的研究
Project/Area Number |
18300308
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
山本 光正 National Museum of Japanese History, 研究部, 教授 (10150020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 努 国立歴史民俗博物館, 研究部, 准教授 (50205663)
三宅 宏司 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (70124782)
保谷 徹 東京大学, 史料編纂所, 教授 (60195518)
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Keywords | 日本史 / 金属生産工学 / 文化財科学 / 再現実験 / 製作技法 / 銃砲 / 大砲 / オランダ |
Research Abstract |
江戸時代の鉄炮銃身はきわめて低炭素の軟鉄(庖丁鉄)を素材としており、これは大鍛冶(おおかじ)とよばれる精錬技術によって作られたと考えられる。大鍛冶とは、わが国の近世から明治初期における製鉄の工程の中で、原料の砂鉄を還元して粗金属を得る製錬(smelting)に続いて行われる精錬(refining)の一つであり、特に銑押法(ずくおしほう)において、生成した銑鉄の中の炭素を大幅に減少させて庖丁鉄(軟鉄)を作るための技法である。製錬技術としての「たたら吹き」や、精錬のうちの「卸金(おろしがね)」(鍛冶職人が自分の作業目的にあった素材を得るために鉄中の炭素濃度を調整する技法)が現在も継承されているのに対し、大鍛冶は、わずか2篇の文献上の記録(山田、1918;俵、1933)は残っているものの技術の伝承が途絶えており、現在ではその実態がわからなくなっている。そこで、大鍛冶における炉内反応などの詳細を明らかにするために再現実験を行った。炉内温度を非接触で測定できる高温サーモグラフィー放射温度計を購入し、時間経過とともに変化する炉内温度分布を記録しながら実験を実施した。一回目の試行実験では比較的短時間の操業によって、銑鉄からきわめて低炭素の鉄を作ることが可能であることを確認した。二回目の実験では、温度や送風、炉内で起きている反応を把握し、工程全体を理解することを目的として、送風や昇温条件を変えて操業を行った。これによって、文献記録にある各工程の意味など詳細を明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)