2006 Fiscal Year Annual Research Report
土壌細菌DNAの総観的分子分類解析による環境診断法の展開
Project/Area Number |
18310009
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
伊藤 公紀 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (40114376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 隆 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 助教授 (60344149)
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Keywords | 土壌細菌 / 多様性 / 二次元電気泳動 / 生態系 / ランク・アバンダンスプロット / 回復性 |
Research Abstract |
土壌細菌系は土壌中で極めて重要な機能を担っており、そのキャラクタリゼーションは、環境汚染や環境回復に関わる動態解析のため、また基礎的な生態系解析として必要性が高いが、未知の部分が多い。このような状況に鑑み本研究では、土壌細菌システムに対して有効となる総観的な半定量・半定性手法を開発・確立し、土壌環境評価に資することを目的とした。本年度は、鎖長-GCマップ法の確立を図り、また生態系の特徴を考慮した多様性解析手法を確立することを試み、さらに、土壌細菌システムのような高い多様性を持つ系の特性の理論的検討を行った。 1.DNA二次元電気泳動法の開発 土壌細菌システムの多様性調査と種同定の両方に用いることができる手法として、16SrRNAの分子分類学的多型を利用した鎖長-GCマップ法(あるいは鎖長-成分マップ法)を確立するために、高分離能を持つ二次元電気泳動法(2-DGE)を開発し、従来の変性剤濃度勾配電気泳動法(DGGE)や制限酵素断片鎖長多型法(RFLP)などと比べて、大きく多型分離能を改善することができた。これにより、土壌細菌系に対して効果的なランク・アバンダンス(順位・存在度、RA)プロットを行うことが可能になった。 2.生態系多様性解析のための食物網理論構築 2-DGE法により得られる土壌細菌多様性は、他の生態系の多様性と共通の特性を持つと考えられる。しかし、一般的な生態系の多様性についての議論は十分ではないのが現状である。そこで、食物網の一般的考察から出発して、生態系の多様性を評価する理論的手法を検討した。 3.高多様性システムの回復性に関する理論的検討 高多様性システムは、双安定性を示すことが多く、環境変化に対して履歴現象などが見られる。土壌細菌系も同様な挙動を示すと考えられる。そこで、生態系の一般的なモデルから出発して、系の回復性等の特性を評価した。
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