2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会・生態システムの生活者参加型環境マネジメントに関する研究
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18310028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萩原 良巳 Kyoto University, 防災研究所, 教授 (00268567)
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Keywords | 環境マネジメント / コンフリクトマネジメント / システムズ・アナリシス / 社会環境リスク / 生態リスク / GES環境 / 環境印象評価 |
Research Abstract |
平成20年度の目的は, 1)生活者参加型環境評価システム手法の開発 2)環境評価システムに生態調査結果を埋没させる手法の開発 3)環境評価システムの実流域における実証的研究, 4)実流域の問題の明確化と環境マネジメントのための目的と境界の明示化と代替案の作成 5)実流域における社会リスクとしてのコンフリクト現象の分析,であった. 以上の目的のために,生活者の社会・生態環境マネジメントへの参加を「情報と決定」と認識したうえで社会調査法に特に感性項目を付加し,環境経済的評価では表現できない,環境印象評価法を確立した. それは,河川水質環境評価で重要視されている底生生物調査に着目し,これらを餌とする魚類・鳥類調査を経て,この魚類・鳥類が生活者の印象項目で「水辺像」に与える影響を階層システム論的に構成した.なお,手法はクラメールの関連係数と因子分析を用いた.これは社会・生態環境マネジメントにおける計画代替案の事前・事後評価法として利用できる.つぎに河川流域における社会・生態システムの「多様性と統合」というマネジメント課題を解決または安定させる手法の開発を行った.まず社会・生態システムの20年間の植生ならびに社会・経済調査の変化過程を多変量解析法で分析し,上下流域の3代表地域の社会調査を行い,それぞれの社会・生態環境の固有の問題(例えば獣害や土砂災害等)と上下流問題(治水安全度や生態環境保全等)を分析し,コンフリクト状況が生じているかあるいは生じるリスクがある場合の分析手法を開発した. 以上の手法は,京都市の鴨川流域を中心に実際的に適応しその有効性を確認し,環境印象評価については京都の水辺と中国北京の水辺の比較研究,上下流問題はインドとバングラデシュにわたるガンジス川下流のベンガル地域に適用し,有効性を確認した.
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Research Products
(36 results)