2006 Fiscal Year Annual Research Report
酸化チタンの光触媒効果による有機分子の分解過程の原子レベルでの解析
Project/Area Number |
18310072
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
谷口 昌宏 金沢工業大学, 環境・建築学部, 助教授 (30250418)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 治 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (10108235)
山岸 晧彦 お茶の水女子大学, 理学部, 客員教授 (70001865)
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Keywords | 走査型アトムプローブ / 炭素材料 / カーボンナノチューブ / グラファイトナノファイバー / クラスターイオン / 水素終端 / ケクレン / 光励起触媒 |
Research Abstract |
本研究は、研究代表者らが開発を進めている走査型アトムプローブ(Scanning Atom Probe, SAP)の特性を生かして、有機分子が酸化チタンによりどのように解離するかを調べる事を目的としている。この目的を達成するために、平成18年度には、位置感知型イオン検出器をSAPの中に組む事を計画していたが、特殊な形状の感知型であるため、その設計と方式について結論に至らず、平成19年度に持ち越す事にした。次の課題は酸化チタンの光励起触媒効果を調べるための照射光の選択であるが、パルスレーザー光と紫外から可視光を同時に照射出来る方式を開発中であり、平成19年度初頭にこの新たな方式による光励起触媒効果の研究が開始される予定が立っている。使用されるレーザーは、パルス幅がピコ秒で、2倍波、3倍波を任意の偏光方位で試料面を照射出来る機能を持つが、本器は本研究代表者が分担者として参加している学術創成研究費により購入された。また、キセノン光源は他大学より移譲を受けた。このため、位置感知型イオン検出器や紫外可視光光源用として申請した備品費は、質量分解能を向上させるために必要なデジタルオッシロスコープと、イオン検出器であるMCPアセンブリーの購入に充てられた。試料としては、光照射方式の開発が遅れたので、酸化チタンの光励起触媒効果による有機分子の分解過程の研究は次年度に持ち越されたが、有機材料の基本元素である炭素材料、特に、カーボンナノチューブ(CNT)、グラファイトナノファイバー(GNF)、を重点的に分析し、検出クラスターイオンの分布からこれらの材料に多量の水素が含まれている事を明らかにした。特に注目する点は、炭素原子が平面状に配列するGNFとチューブ状のCNTとは水素により終端する配置が異なり、GNFではケクレン状に水素が配列していると考えられる事である。
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