2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射光X線回折による分子軌道の電子密度分布の直接観測
Project/Area Number |
18310073
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
澤 博 High Energy Accelerator Research Organization, 物質構造科学研究所, 教授 (50215901)
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Keywords | 放射光X線 / 単結晶精密構造解析 / 電子密度解析 / 分子性導体 / 電荷秩序 / ウィグナー結晶 / 電荷密度波 |
Research Abstract |
本課題研究では放射光X線回折を用いて、分子性伝導体における電子相関によって生じる電子の結晶化ともいえる現象を研究してきた。 一次元伝導体である分子性導体(DI-DCNQI)_2Agの低温相は、電子相関による電荷秩序状態であることが、理論、核磁気共鳴、ラマンスペクトルなどから予想されていた。一次元の伝導パス内での電荷秩序状態はほぼ確実であると考えられていた。我々は精密解析によって低温相の構造を明らかにすることにより、Wignerが1930年代に予言した希薄な電荷が体心正方格子を組んでいることを初めて明らかにした。この電荷秩序状態の解析には二つの大きな要素が関係している。ひとつは新しい幾何学的な関係にある螺旋フラストレーションであり、もう一つは一つの結晶構造内で電荷秩序一次元鎖と二量化一次元鎖が共存することである。両者ともまったく新しい概念である(Phys Rev.Lett.98(2007)066402/1-2)。 一方、バンド構造に特異な分散関係(ディラックーコーン型)を持つことによって物性が注目されている分子性導体α-(BEDT-TTF)2I3の低温構造では、やはり電子相関によって電荷秩序状態が予想されていた。我々の放射光による解析で,電荷秩序による電荷の不均一度は0.2電子程度であった。しかし、分子間の遷移積分のパターンによるとZigzag鎖内で2kFの電荷密度波が形成することによるバンドギャップの形成として物性が理解されることを示した。
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[Journal Article] Superconductivity of doped Ar@C_<60>2007
Author(s)
K.Yakigaya, A.Takeda, Y.Yokoyama, S.Ito, T.Miyazaki, T.Suetsuna, H.Shimotani, T.Kakiuchi, H.Sawa, H.Takagi, K.Kitaawa, N.Dragoe
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Journal Title
New Journal of Chemistry 31
Pages: 973-979
Peer Reviewed