2008 Fiscal Year Annual Research Report
西表島を中心とする琉球列島島嶼群の生物学的構造とその保全に関する研究
Project/Area Number |
18310153
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
伊澤 雅子 University of the Ryukyus, 理学部, 教授 (10192478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 英利 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (10201972)
傳田 哲郎 琉球大学, 理学部, 准教授 (50284948)
土肥 昭夫 長崎大学, 環境科学部, 教授 (80091247)
河野 裕美 東海大学, 海洋研究所, 准教授 (30439682)
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Keywords | 琉球列島 / 西表島 / 移動 / 保全 / 外来種 / イリオモテヤマネコ |
Research Abstract |
(1)西表島の異なる環境において生物相調査を自動撮影法と区画法によって行った。鳥類相に大きな相違が見られた。イリオモテヤマネコは定住性や密度は異なるものの、多様な地域を生息地として利用していることが明らかになった。 (2)沖縄県下の各島嶼で、外来種の分布と生息状況を調査した。その結果、特定外来生物であるシロアゴガエルが、まだ侵入の歴史が浅いはずの久米島や宮古島などですでに島内のほぼ全域に広がってしまっていること、石垣島と北大東島でも生息域がそれぞれ全体面積の1/4〜1/2程度に達していることが明らかになった。対照的に多良間島では、生息範囲が農業用貯水池や民家の周辺にほぼ限られていた。多良間島のように琉球石灰岩が卓越し地表水体の発達しない小島嶼で、人工的な陸水がシロアゴガエルの数少ない繁殖場所となっていることは、今後の除去事業の際に十分考慮されるべき知見である。 (3)クビワオオコウモリの定住性と移動について、繁殖活動と関連づけて調査を行った。島間での移動は餌植物のフェノロジーと強い関係をもつが、島内での移動は繁殖活動やそれぞれの個体性によってバリエーションがあり、柔軟に使い分けていると考えられた。 (4)20年度は石垣島で複雑な異種間交雑を起こしていると予想されているツユクサ科の植物について、西表島での分布状況を調査した。当該植物は約20年前に西表島で採集されて以来生育が確認されていなかったが、今回の調査において1カ所での生育を確認した。現在、石垣島集団との遺伝的な比較等を進め、近接する両島集団間での遺伝的組成の違いに関する解析を進めている。また、世界の侵略的外来種100にノミネートされているアメリカハマグルマが、浦内川河口の天然保護区域(ミミモチシダ群落)を含む多くの場所で繁茂している状況を確認し、これまで未調査であった当該種の種子繁殖能力に関する調査を開始した。
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Research Products
(18 results)