2006 Fiscal Year Annual Research Report
「昭和20年8月15日」植民地支配終焉と朝鮮解放の歴史像再構築-民衆史の視点から
Project/Area Number |
18310163
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松原 孝俊 九州大学, 韓国研究センター, 教授 (20150378)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 継雄 九州大学, 大学院人間環境学研究院, 教授 (00134180)
出水 薫 九州大学, 大学院法学研究院, 教授 (20294861)
|
Keywords | 敗戦体験 / 引揚者 / 植民地研究 / オーラルヒストリー / 群山 / 地積図調査 / 平壌 / 日本人居留地の朝鮮人 |
Research Abstract |
第1の研究成果として、日本人居留地として有名であった全羅北道群山を事例に取り上げ、その中でも最も日本人が密集した永和洞(旧大和町、旭町)の地積図を入手した後、居留地が開発された1914年から1960年代までに至る約50年間の土地所有者の変遷を分析した。まず永和洞94筆全体の所有権移動を調査し、その一筆ずつに1945年8月15日以前と以後を留意して、当該研究テーマに即して詳細な分析を加えた。 第2の研究成果として、旧平壌府に居住した引揚者(渡航者)の集団である「平壌会」のメンバー15名から、1945年8月から彼らが引き揚げる日までの滞留体験を聴き取りした。その中には、金日成平壌凱旋パレードを観覧したという注目すべき証言もあった。 第3の研究成果として、2回の国際ワークショップを開催し、約55名の専門家による討議が交わされたことである。第1回目は、2007年12月16日に韓国成均館大学で開催され、両国の在朝日本人研究者を総動員して、3部構成のワークショップが展開された。第1部は有馬学教授による基調報告「戦時期日本のモダニティーと植民地へのまなざしーー発見された<朝鮮>」である。第2部は、松本武祝教授など4名による在朝日本人研究の諸相である。韓国における研究の現段階を手際よく整理した発表もあり、朝鮮王族、植民者の記憶、農業学校卒業者の進路など、多彩なテーマで意見交換があった。第3部は、日韓で進展中の調査の中間報告であった。注目すべきは、木村健二の研究史的整理である。現在の研究の問題点を洗い出し、今後の展望を切り開く示唆を当たることに成功したと言えよう。 第2回目は、2007年2月12日にUCLAで開催された日米韓ワークショップ「植民地研究の展望」である。3ヶ国の植民地期オーラルヒストリー研究に携わる若手研究者が、各国の研究動向と研究成果、方法論や価値を巡って活発な議論を交した。
|
Research Products
(1 results)