2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18320001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藏田 伸雄 北海道大学, 大学院文学研究科, 助教授 (50303714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 孝二 北海道大学, 大学院文学研究科, 助教授 (30291991)
新田 孝彦 北海道大学, 大学院文学研究科, 教授 (00113598)
杉山 滋郎 北海道大学, 大学院理学研究科, 教授 (30179171)
伊勢田 哲治 名古屋大学, 大学院情報科学研究科, 助教授 (80324367)
金光 秀和 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (50398989)
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Keywords | リスク便益分析 / コンセンサス会議 / 科学技術倫理 / 社会的合理性 / 功利主義 / 参加型アセスメント / 技術者倫理 |
Research Abstract |
本研究の意図は、リスクに関する議論を社会的規範理論の中に位置づけることである。費用便益分析を中心とするリスク論の方法は、効用を基礎におく功利主義の応用であり、便益とリスク配分の不平等の看過等の弊害を伴う。一部の社会弱者にリスクや被害が集中しないためには、適切な情報公開と、リスクガバナンスに関する民主的な決定手続きが必要になる。 そういった点について検討するために、本年度は北海道で開催された「遺伝子組換え農作物」に関するコンセンサス会議に、研究代表者・分担者のうち藏田、杉山、石原が事務局として関わり、市民参加型の民主的意思決定の手法について具体的に分析した。コンセンサス会議などの参加型テクノロジーアセスメントは、非専門家の判断の中の「科学的ではない合理的な要素」をリスクに関する政治的意思決定に導入するための熟慮民主主義型の手法として有効であることがわかった。 また科学的合理性とは区別される社会的合理性とは何かについて研究分担者間での議論を重ね、社会的合理性は巧利主義的にも、権利論的にも、また民主主義との関連からも理解することができるという見通しを得た。 また本年度は研究協力者の協力を得て、IPCCにおいて専門家の判断がどのような社会的・政治的意味を持ったのかを確認し、環境リスクに関する政治的過程において、専門家の判断がどのような機能を果たすのかを明らかにした。 また研究分担者の伊勢田は、リスク論に関する理論的な知見をふまえて、「誇り」に立脚する技術者倫理について研究し、その成果をアメリカ・シンシナチで開催された「実践・専門職倫理学会2007年年次大会」において、"How Should We Foster Professional Integrity of Engineers in Japan?:A Pride-Based Approach"というタイトルで発表した。
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Research Products
(6 results)