2007 Fiscal Year Annual Research Report
西洋中世における「美」の概念-新プラトン主義の受容と変容の史的解明
Project/Area Number |
18320011
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
樋笠 勝士 Sophia University, 文学部, 教授 (10208738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 弘之 上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
児嶋 由枝 上智大学, 文学部, 准教授 (70349017)
竹内 修一 上智大学, 神学部, 准教授 (60349016)
長町 裕司 上智大学, 文学部, 准教授 (90296880)
川村 信三 上智大学, 文学部, 准教授 (00317497)
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Keywords | 美の哲学 / 美学芸術学 / 新プラト主義 / 形而上学 / 中世哲学 / 教父哲学 / 神秘主義 |
Research Abstract |
平成19年度は、研究計画に即して三班に分かれて新プラトン主義の美の概念の系譜について基礎的研究を実施した。研究テーマに直接関わる研究については研究代表者樋笠が中心に研究を進め、研究分担者は各自の研究を生かす形で本テーマの研究を促進させた。研究代表者が中心的に参与する学会(美学会、中世哲学会、新プラトン主義協会等)にて報告等を行い、それについてセッションを実施した。各分担者は研究テーマへの多角的なアプローチの下に今年度の個別研究として論文等において実績を残した。この研究の実績全体は本研究テーマのコアとなる研究(代表者担当)と個別研究とから為るが、前者については以下の通りである。(後者については各分担者の研究実績を参照)1、新プラトン主義の原点となるプロティノスの美学研究。「美」と存在論的に対応する「知性」の存在と働きについて、中世哲学に直結する認識論的な視点から研究した。その研究の大半を『プロティノスにおけるPankaliaの思想(哲学科紀要)』において発表した。これは特に、プロティノスとその前史との関係を論じたものであり、グノーシス派及びストア派との影響作用史的関心を中心にしたものである。これらの研究によって、プロティノス独自の形而上学的な「美」の概念の基礎を得られ、それをもって中世哲学理解への土台をつくることができた。2、新プラトン主義の一般的美学研究。上記の研究に付随した研究としてプロティノスにおける芸術論を、特にその演劇美学について研究を進めた。彼の世界創造論は『ティマイオス』に基づくものであるとしても、その独自の「観照としての創造」論は、現世理解を肯定的にしている。ここで彼は演劇論を形而上学に組み込む。「舞台としての世界」理解や観念は歴史的にここから始まるのであり、アリストテレスに次ぐ演劇美学の第二の出発点を構成しているという見方を示した。この研究も上記論文の一部を為している。
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Research Products
(31 results)