2008 Fiscal Year Annual Research Report
西洋中世における「美」の概念--新プラトン主義の受容と変容の史的解明
Project/Area Number |
18320011
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
樋笠 勝士 Sophia University, 文学部, 教授 (10208738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 弘之 上智大学, 文学部, 教授 (20177158)
児嶋 由枝 上智大学, 文学部, 准教授 (70349017)
竹内 修一 上智大学, 神学部, 准教授 (60349016)
長町 裕司 上智大学, 文学部, 教授 (90296880)
川村 信三 上智大学, 文学部, 准教授 (00317497)
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Keywords | 美の哲学 / 美学芸術学 / 新プラトン主義 / 形而上学 / 中世哲学 / 教父哲学 / 神秘主義 / キリスト教思想 |
Research Abstract |
平成20年度は、研究計画に即して新プラトン主義の美の概念の系譜について発展的な研究を実施した。研究テーマに直接関わる研究については研究代表者樋笠が中心に研究を進め、研究分担者は各自の研究を生かす形で本テーマの研究を更に促進させた。研究代表者が中心的に参与する学会にて報告等を行い、それについてセッションを実施した。各分担者は研究テーマへの多角的な個別研究として論文等において実績を残した。この研究の実績全体は本研究テーマのコアとなる研究(代表者担当)と個別研究とから為るが、前者については以下の通りである。(後者については各分担者の研究実績を参照) 1.新プラトン主義の原点となるプロティノス美学の研究。プロティノスの「美」の概念および、形而上学的な「知性」や「存在」の概念をめぐって、プロティノスへと影響したストア派の哲学を探ることで、プロティノスの美学研究の基礎固めを目指した。これは昨年度新プラトン主義協会大会のシンポジウムのテーマ「新プラトン主義とストア派」に樋笠が参与し、シンポジウム司会をつとめることで一定の成果を為した。これは協会の会誌に掲載の予定である。 2.中世におけるアウグスティヌス美学の研究。教父研究会にてアウグスティヌスの「音楽」概念について発表し、その「数比の美学」が彼の汎美思想と結びついていることを明らかにした。これに関連してアウグスティヌスの汎美思想を欧文雑誌Aestheticsにて発表した。この教父思想が世界創造論と被造界肯定論を基礎付け、中世における汎美思想へと展開することを明らかにした。これはスコラ期の「光の美学」の理解の基盤となるものであって、「中世の美学」構築に欠かせない研究であった。
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Research Products
(42 results)