2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18320016
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Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
原 實 The Toyo Bunko, 研究部, 研究員 (40011283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 信定 財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (00072538)
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Keywords | 樹木 / 擬人法 / 生命観 / 不殺生 / 慈悲 |
Research Abstract |
過去三年間に亘り我々は日本学術振興会より「古代インドの環境論」の題のもとに研究助成金の交付を受けた。我々は毎年四回一堂に会して毎回一人に夫々の研究成果を中心に口頭発表の義務を課し、夕食を共にして質疑応答の機会を持った。その成果は参加者一人一人の研究業績表に明らかであるが、昨年日本印度学仏教学会年次総会に於いてパネル形式で研究成果を広く学界に報告し得た事は何よりの成果であった。併しそれにも増してこの機会に参加者が活発に意見を交換して相互に啓発しあえた事は我々一同の生涯の喜びとする所で、この機会を与えられた関係各位に深く感謝する。 そもそも我々の専攻する「インド古典学、仏教学」と現代の緊急課題である「環境論」との間にどれ程の接点があり、我々の学問がこの現代的問題にどの程度貢献し得るかという根本問題に真剣に対峙する事が出来た。古代インドの「不殺生」や東アジア佛教の「草木国土悉皆成仏」の概念はその基本形に於いて人間と動物、植物との関係を扱っている。又佛教の「慈悲」の思想は個人と彼を取巻く生物一般に対する「思い遣り」「愛」の概念に連なるから、それらの概念内容を環境論の視点から今一度精密に研究し直す事は現代的課題に通じる所があった。 研究代表者は更に古代インドの「母なる大地」「地母神」の概念や「大地苦悩の神話」を討究する事によって、古代インドの「地球観」を明らかにし得ると考えるに至った。古代人の素朴な思考が却って現代の我々に教える所がある様に思われる。これ「温故知新」の説かれる所以である。今後更に視野を広げて、この種の問題を扱って見たいと考える。
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Research Products
(27 results)